制限ではなくボーナスポイントのある練習メニューづくり

トレーニングする際「〜限定」とか「〜のみ」といった条件をいつもつけていませんか?確かにそのルールによって一定の状況の反復はできるかもしれませんが、逆に失われてしまう大事な判断があるかもしれません。

 

コーチの皆さんはトレーニングの中でゲーム形式のメニューを行う時にどんなルールを作っていますか。

例えば

3タッチ限定

ボールを奪ったら一度サイドのフリーマンを使って攻める

など、選手たちのレベルアップのためにさまざまな工夫をされていることでしょう。

 

今回はいろいろなルールの設定方法がある中で特にジュニアやジュニアユース年代でお勧めしたい、「~~しないといけない」ではなくて「~~ができれば追加で3ポイント!」といったボーナスポイント方式のゲームに関して少し深く紹介したいと思います。

 

 

さて、まずなぜゲーム形式のトレーニングではさまざまなルールがあるのでしょうか?それはきっと、その練習でレベルアップさせたい状況の繰り返しが起こりやすくなる、そしてプレーしている本人やチームがそのテーマを認識しやすくなるからでしょう。

例えば「シュートは1タッチで打たなければいけない」といったルールでゲームをするとすると、選手たちは1タッチでのシュートの反復ができ、さらにどのようにパスを受けるか、リバウンドやルーズボールを狙っているかということにフォーカスしやすくなります。

 

 

しかし、コーチとして同時に考えないといけないのは、このルールによって「逆にどのような判断の機会を奪っているのか」ということではないでしょうか。

1タッチでシュートする例ではやはり、シュートする選手がトラップするかどうか、という点の判断がなくなります。このルールによって、せっかくシュートできるエリアでボールを受けた選手が、トラップを選択した場合はシュートを打つ可能性がなくなります。

このことで相手チームにも影響が出てきますよね。相手FWがトラップした瞬間、GKはパスを警戒し、守備陣はシュートを防ぐポジショニングをとらなくなってしまいます。

 

 

それでは、このルールの代わりに

1タッチでシュートを決めれば2点、それ以外は1点

とするとどうなるでしょうか?もちろん時間設定などの要素も関わりますが、基本的には選手は試合と同様、自由に判断することができます。攻撃側が自由に判断できる状況は守備側にも優先順位を考える必要が出てきます。そして攻撃側にも点の取り方にバリエーションができるのでコミュニケーションが生まれやすくなります。

ただ、1タッチシュートの反復という面では、きっと「シュートは1タッチのみ」と限定するルールに比べて減ることでしょう。それでもゲームの中で生まれるシュートの状況はより現実的になることでしょう、つまり(練習回数や頻度が限られているジュニアなどでは特に)「より試合につながりやすくなる」と思います。

 

 

さて、タッチ制限にかかわらず、テーマに応じてボーナスポイントは様々な方法で設定することができます。

例えば、練習の目的が、「ボールを受ける前に周りをみる」だとします。5v5のフットサル(4+GK)のようなミニゲームをするとして、普通の得点方法に加え、守備側のボーナスポイントとして

インターセプトもしくは相手がボールを受けて前を向くまでにボールを奪えれば1点

としてゲームをしてみましょう。まず、守備側のプレスが活性化し、そのハイプレッシャーな中でどうやってボールを失わずに前進するかという環境ができあがるはずです。体を半身にすることでスムーズに前を向きマークの相手の場所が分かりやすくなる。首を振って相手をみる。そして相手が寄せている場 合はシンプルにはたく、相手が来ていないときは前を向く、さらには、相手が来ていても腕を使って自分のスペースを確保するなど、多くのディテールに取り組めるはずです。

 

さらには個人戦術や技術のみならず、ボーナスポイントの与え方次第でチーム戦術に働きかけることもできます。例えば守備時に相手をどちらかのサイドで限定してボール奪いたいとした場合、両サイドにゾーンを作って、攻撃側にサイドチェンジしてからゴールを決めれば3点、通常のゴールは1点といったルールを与えてみましょう。きっと守備側が限定のために工夫や判断をすると同時に攻撃側も幅を意識して取り組めるのではないでしょうか。

 

 

ちなみにボーナスルールにももちろんデメリットや設定時の注意点があります。

特に気をつけないといけないのは「ボーナスポイントの大きさ」です。というのも課題に取り組みたいということで極端なボーナスポイント設定をしてしまうと結局通常のサッカーの試合で行う判断から離れていってしまいます。たとえば、1タッチゴールは5点などとすると普通に得点を取るのが無意味に近くなってしまいますよね。判断する際の環境が実際の試合から離れれば離れるほどその効果も薄くなってしまいます。

 

 

ですが、バランスに気をつければボーナスポイント方式はやはりメリットが多いように感じます。まず選手たちにとって普通にプレーを楽しめてしかも課題に取り組むとよりポイントがもらえるというのはモチベーションにつながりやすいですよね。そして、ルールの作り方がとてもシンプルです。基本的にはルールを作る時に、

選手の課題をみつけそれを達成した際にポイント

もしくは相手チームにそれを阻止することでポイント

を与えるだけです。選手たち自身で話し合わせて作ってもいいかもしれないですね。

 

日本サッカー協会では、指導者にポジティブに褒める指導をすすめていますし、みなさんもその効果や重要性を感じているのではないでしょうか。英語の言い回しにも、「Catch When They Are Good(輝いている時を見逃すな)」というのがあります。だからこそ、褒められる状況や達成感を感じやすい練習メニューの作り方としてボーナスポイント方式を紹介しました。ぜひ皆さんのトレーニング作りの際の参考にしてくださいね。(了)

 

Written and edited by

Takuro Hosaka    Twitter@HosakaTakuro

soccercoaching.jp編集者

AFC A級

JFA A級U-12

2017年~ タイプレミアリーグクラブ True Bangkok United アカデミー U13監督

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Tags: コーチングアドバイス  ジュニア対象  ジュニアユース対象  
By: Admin
Posted: 2019年10月16日 01:23

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