2019年CL準決勝2ndレグ リバプール4-0バルセロナ

稚拙なセットプレーの守備とサイドバックのポジショニングがキーとなる試合であった。

ファーストレグを0-3で落としたリバプールは、劇的なカムバックを果たした。リバプールのアンフィールドでの勝利はいつもどおり、感情的であり、最高の雰囲気であり、歴史的であった。これらは確かに試合に関連したものであったが、一方で戦術的にも見るべきものが多い試合であった。

議題に上がることは、セカンドレグを、クロップ監督は、前線のファーストチョイスであるサラーとフェルミーニョを欠場で迎えることであった。オリギとシャキリが代わりに前線に入り、ミルナーが中盤に、ワイナルドゥムがベンチからのスタートとなった。

バルセロナは、ファーストレグと変わらない布陣で臨んだ。もう一つの興味深い点は、リーガで既にタイトルを獲得しているため、ローテンションを組むことができた点であった。しかし、休養は助けにはならなかったかもしれない。

メッシ:

カンプノウでの敗因は、2ゴールをあげたメッシをストップできなかったことに帰結する。勝ち抜くためには、リバプールはメッシを止めて、クリーンシートでゲームを終える必要性があった。クリーンシートは達成できたものの、メッシの影響力はスコアが示すほど乏しいものではなかった。実際には、議論の余地があり、ベストパフォーマンスではないものの、ピッチ上ではメッシは卓越したプレイヤーであった。メッシは、幾多のチャンスを創出したが、コウチーニョ、アルバ、スアレスはチャンスを決めきることができなかった。メッシを止める役割を担ったファビーニョだが、最初の10分でスアレスのタックスに対して警告を与えられ、そこからメッシへのタックルを自制しているようにも見えた。

この2シーズン、メッシとアルバのコンビは、並外れたものであり、この試合でも繰り返し脅威となっていた。13分のシーンや15分のブスケッツからのパスをアルバが受けたシーンでは、メッシへのゴール機会を創出しかけた。

メッシとアルバは、前半の最後でもチャンスを生み出している。コーナーの守備から、アルバがメッシのスルーパスに反応したものの、タッチが少し大きくなり、アリソンにセーブをされたシーンがあった。

 

セットプレー:

アルバのゴールへのオーバーラップの強い意識は、リバプールの7分の先制点にも影響した。左サイドからのコーナーをバルセロナがクリアしたときに、アルバはカウンターアタックを狙い、前線にスプリントを仕掛けた。しかし、リバプールがボールを奪い返したときに、アルバは前線にポジションをとっており、リバプールの右サイドが空いている状態になってしまった。懸命に戻ったものの、下がりながらのヘッドは、マネの足元に転がり、ヘンダーソンを経由してオリギの先制点につながった。

サッカーでは、ディフェンスとオフェンスのポジション移動についてはとりわけ強調される。この先制点では、バルセロナが「ディフェンスのセットプレー」から「ディフェンスのオープンプレー」へのポジション移動については、あまりうまくできていない良い例になってしまった。

クロス:

バルセロナのサイドバックが適切なポジションを取っているときでさえ、リバプールはバルセロナに対してうまくおこなっていた。ヘンダーソンとミルナーは、ウイングとサイドバックとコンビを形成するためにサイドに流れ、3vs2の状況を作るようにしていた。バルセロナは、これにどう対処すべきかわからないように見えた。ヴィダルがロバートソンをケアして、セルジ・ロベルトがミルナーをケアしている場面もあったが、これは、マネがサイドでフリーになることを意味する。マネは、ピケの外側にスペースを見つけて、リバプールは素早くマネに渡すようにしていた。特に、ファンダイクからの斜めのパスは、バイエルン戦でもゴールを生み出したコンビネーションであった。

クロップ監督は、ハーフタイムにケガをしたロバートソンの代わりにワイナルドゥムを投入しなければならなくなった。これにより、ミルナーがサイドに位置するようになった。この普通でないゲーム展開において、この交代が試合を決定づけるようになった。ワイナルドゥムはミルナーに比べて外側に開くことは少なくなり、代わりにミルナーがサイドを使うようになった。これにより、ワイナルドゥムはボックスの中にポジションを取るようになった。これにより、2点目、3点目がワイナルドゥムの適切なポジショニングにより生まれる形となった。後半を通じて、リバプールはサイドチェンジを多用するようになった。

 

カウンタープレス:

リバプールの2点目、3点目は興味深い点があった。2点目のクロスは、マネが右サイドにポジションを変えたあとにアレクサンダー・アーノルドによって供給された。ただ、実際にはもう少し複雑な事情が絡んでいる。アレクサンダー・アーノルドのヘッドは、ラキティッチに渡ってしまった。しかし、ボールを相手に渡した瞬間に、カウンタープレスが開始される。アーノルド、ヘンダーソン、オリギは、近くにいたため、ラキティッチは、プレスのかかっている中でアルバにパスをした。アレクサンダー・アーノルドは彼からボールを奪い、ディフレクトしたクロスは、ワイナルドゥムの元に渡った。アレクサンダー・アーノルドのクロスがアシストとなった。そして、そのクロスは、アレクサンダー・アーノルドのタックルから生まれた。また、タックルは、アレクサンダー・アーノルドがボールをロストしたところから開始した。これは、クロップが「ボールをすぐに奪い返す」と強調するカウンタープレスの最適な例である。

3点目は、よりわかりやすい展開であった。ミルナーが左サイドでプレーしているので、左利きのクロスは多くは期待していない。左サイドにポジションを移動したシャキリからワイナルドゥムのヘッドを引き出した。

このポイントで、試合の流れは傾いてしまい、もはやバルセロナにはプレッシャーを対処できないように思えた。真実は少々異なっており、バルベルデ監督は、コウチーニョに代わり、セメドを入れた。セメドは、生粋の右サイドバックで、右サイドの中盤でプレーした。ヴィダルが左サイドに移り、サイドをカバーした。これにより、ディフェンスが向上し、まともにポゼッションをできる時間帯が作れるようになった。メッシは再び影響力を発揮するようになり、ドリブルの機会もでるようになった。また、アリソンにストップされたものの角度のないところからシュートチャンスもあり、バルサは試合を通じて最も安定した時間帯を送っていた。

しかしながら、決勝点は、アレクサンダー・アーノルドのもう一つのボールから生まれた。素晴らしいコーナーではあったが、彼はボールの傍に立ち、離れようとしていた。シャキリがコーナーを蹴る予定に見えた。中には、オリギがフリーになっており、バルサディフェンスはシャキリがコーナーを蹴る前に、2・3秒の確認に充てようとしていたように見えた。まるで、トレーニンググラウンドでの出来事のように見え、アレクサンダー・アーノルドも「直観だった」と評したものであったが、一方で、リバプールのビデオ分析担当は、バルセロナはセットプレーの確認にたびたび時間をかけすぎることがわかっていたとも示唆している。

リバプールの先制点も決勝点も、バルセロナのセットプレーの守備がカギとなるゲームであった。(了)

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Tags: Zonal marking  
By: Admin
Posted: 2019年05月29日 12:55

Reference: Liverpool 4-0 Barcelona: sloppy set-piece defending and full-back positioning

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