加熱するキッズスポーツ

今回は、アメリカ週刊誌TIME(17年9月4日号)の記事、SEAN GREGORY氏のキッズスポーツの分析を簡易訳を交えながら紹介したい。

成長するキッズスポーツ市場

アメリカ国内では2010年からユーススポーツ市場は55%の成長が見られ、1兆5000億円市場とも言われている。それは、施設使用料、プライベートコーチ、用具購入など多岐に渡る。記事によると、8歳~18歳のチームスポーツで1年間の活動にかかる平均支出は以下のようになる。

ラクロス($7,956≒110円 約87.5万円/年)が最も高く、ホッケー($7,013)、野球($4,044)、アメフト($2,739)と続き、サッカー($1,472)やバスケット($1,143)は比較的安価となっている。

 また、キッズスポーツ市場が大きくなる成長するにつれて、地域コミュニティでのスポーツ活動からエリート育成の側面が強くなり、ソフトボールでは6才、野球では4才からチームランキングが存在し、地域の活動範囲を超えて広い活動範囲でトレーニングやゲームが行われている。

 

上昇するコストがキッズスポーツの門を閉ざしている

もう一つ興味深いデータが、世帯年収から見るキッズスポーツへの参加率である。世帯年収が$25,000よりも低い世帯は19%の参加率に対して、世帯年収に比例して参加率は上がり、$100,000以上の世帯では41%もの世帯がキッズスポーツに参加している。最もコストのかかるラクロスにおいては、$100,000以上の世帯年収を持つ競技者が50%を超える。ここから言えることは、全ての家庭がスポーツを選択できる環境ではなく、活動のコストは世帯年収や競技の選択に影響を及ぼしているということである。

キッズスポーツ後の成功

それでも子供たちのために、競技費用を捻出する親は多い。一つは、可愛い子供が夢中になっているスポーツを応援したいという気持ちからである。そして、もう一つは、才能のある子供が、将来プロ選手や大学で奨学金を獲得する可能性があるからである。

ただ、後者の可能性は統計的には好ましいものではない。例えば、高校バスケットボールはアメリカ国内で54万人のプレーヤーがいるが、そのあと大学のトップリーグでプレーできる選手は99人に1人である。また、NBAでプレーできる選手は、1860人に1人である。サッカーは、バスケットボールに比べると幾分可能性はあるものの、高校→大学トップリーグでプレーできる可能性は、73人に1人。MLSでプレーできる可能性は、835人に1人である。

また、早期の特定スポーツへの特化についてもう一つ触れておくと、1年間で8か月以上同じスポーツをするとケガのリスクが高まりやすい。また、早期の特化はバーンアウト、スポーツへの不安や興味を失う原因になりやすい。そして、特定のスポーツだけを行うことは逆効果になることも指摘している。大学のトップリーグに所属する男性女性アスリート296人の調査では、88%のアスリートが子供の時に2~3種目の競技を行っていたことが調査からわかっている。

 

まとめ

以上は、TIME誌SEAN GREGORY氏の記事から抜粋・簡易訳を交えたものであるが、キッズスポーツの現状に対して興味深い示唆を与えてくれている。日本でもユーススポーツでのエリート教育は存在し、類似した事例を見つけることは難しくないだろう。例えば、フィギュアスケートでは、リンク施設の使用に多額のコストがかかる。また、チームに所属するために県外や国外に移住することも少なくない。ここでは、キッズスポーツのあり方として何が正しいかを指摘することはできない。成功する選手は、一定の時間を投じていることは否定できないからである。ただ一方で、紹介したような内容もキッズスポーツの一面だと知る機会にしていただければ幸いである。(了)

参照:TIME (The Kids' Sports Machine By Sean Gregory氏)

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Tags: レポート  データ  コーチングアドバイス  
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Posted: 2017年09月17日 23:08

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