ストライカーにゴールを決めさせるコーチング方法

以下は、GARY CURNEEN氏  自身の著書「MODERN SOCCER COACH: POSITION SPECIFIC TRAINING」からの抜粋である。現代サッカーでのポジションは、チーム構成の中でいかに効率的な選手を配置するかを重視している。実践に即し、40を超えるイラストを施したトレーニングメニューは、選手を次のレベルに押し上げるコーチング環境を整えてくれると信じている。

terry henry

 

「ゴール前で、Over Thinking(考えすぎを)を避けることで、フィニッシュを正しく行い、それが自然な形となる。考える必要はない。私だってゴールの才能に恵まれたわけではない。目標は、あなたができる最高のパフォーマンスをすることだ。」ティエリ・アンリ 元フランス代表

限られた選手は、ゴールを決める「コツ」を知っているかもしれない。また、コーチ全員が、ゴールをトレーニングで習得できるスキルと信じているわけではない。

もちろん、質の高いボールが供給されることと、スポーツの基本的な能力、運動、知能が前提ではあるが、ゴールを決めるということは、芸術よりも科学に近い。そして、ティエリ・アンリはまさに最高のケーススタディである。以前、私たちはアンリのウイングからセンターフォワードへのコンバートについて議論した。それは、スムースな移行ではなかったと記されている。アーセン・ヴェンゲル監督が、最初に、このフランス人をセンターフォワードでプレーさせたときに、アンリは「コーチ、私はゴールの決め方を知りません」と答えた。ここからも、私たちがストライカーとして見ているアンリが、当初、自信を持っていなかったことがわかるだろう。

では、このような自信に欠けた選手が、377試合で227ゴールものスコアを決めたのだろうか? これには、1つ事柄がある。「執拗なまでの準備」である。当初、アンリはアーセナルのレジェンド、イアン・ライトの145ゴールをビデオにまとめて、彼のフリーラン・フィニッシュ・パターンを学び、トレーニングに組み込んだ。この習慣は、のちに新しい伝説となった。もし、アンリのゴール集をみることがあれば、コーチと選手の両方に役立つだろう。彼はスペースを見つけることに秀でており、Thinking Speed(考える速さ)も彼の脚と同様に速い。Thinking Speedの速さから、常にディフェンダーより一歩前に抜け出しているように見える。

「ステップやトリックは、ゲームではない。ゲームとは、トーマス・ミュラーのプレーのことである。ロナウドやメッシのプレーは尋常ではない。彼らはコピーできない。でも、ミュラーのプレーは真似できる。彼は、ゲームを正しい方法で行う。彼は、守り、攻め、ボール保持が必要な時はコントロールして、ボールを離すときはパスしている。そして、ゴールを決めるべき時はフィニッシュをしっかりしている。」 ティエリ・アンリ

アンリのゴール前での落ち着きは、独学で学んだものであるかもしれない。現代では、全ての選手が、アカデミーのような知識を持っているわけではない。しかし、コーチとして、エリート選手のゴールスコアリングを向上する手助けはできないだろうか?プレミアリーグでは、それが可能であるという証拠がある。ウェストハム・ユナイテッドのサム・アラダイス監督は、元イングランド代表、マンチェスターUのテディ・シェリンガムを2014年夏にアタッキングコーチとして招聘した。シェリンガムは、クラブレベルでも代表でも正真正銘のゴールスコアラーであったが、彼はウェストハムで週2回フォワードトレーニングを実施した。トッププレイヤーにスキル指導はいらないかもしれないが、スペースやボール保持の一瞬を確保するトレーニングは効果的である。これらは、ゲームでは大きな違いを生み出すからである。

「シェリンガムが来てから、ボックス内での動きを示してくれた。これは、明確にクロスに対して違いが生まれた。シャープでボックス内での動きを変えることで、より多くの選択肢をプレー中に得ることができる。これが、ゲーム中には大きな違いとなる。」 アンディ・キャロル

 

どうやってゴールスコアリングをコーチングするのか?

現代のコーチは、センターフォワードに非常に多くを求める。しかし、期待と共にサポートを提供しなければならないことを理解してほしい。ディック・ベイト氏は、カーディフ・シティのアカデミーとイングランドFAのコーチ向け講習者である。彼は、ゴールを決めるということに、より科学的なアプローチを取っており、選手にサポートを向けるべきと信じている。ベイト氏は、「正しい時に正しい場所にいる」といった表現をしない。代わりに、ボールがデリバリーされるときに、フォワードが最適なポジションに入ることで、ゴールという形で報われると信じている。

以下は、2008-2009シーズンのプレミアリーグ・ゴールパターンの研究である。ゴールの多くが、中央の危険地帯で得点されていることがわかる。(訳注:ゴールエリアの幅、バイタル~ゴールを結んだエリアで、91.3%ものゴールが生まれている) また、上位チームは、他のチームよりもワンタッチプレーでゴールする確率が高く、それは33%にも上った。ベイト氏の試みは、コーチたちに考える機会を与えてくれる。この統計を頭に置けば、危険地帯でのワンタッチフィニッシュをいかに創造するか、これをトレーニングに落とし込むことをまた一つの考えである。

Bates Goal Zone

 

トレーニングサンプル

 私たちは、20人の選手が一列になり、コーチにパスをしたリターンをシュートするトレーニングには馴染みがある。しかし、これは非効率的であり、古いトレーニングである。現代のサッカーでは、ゴール前で10ヤードもドリブルをしてシュートするシーンは珍しい。特に高いレベルでは、ゴールは素早いリアクション、高いインテンシティ、ダイナミックな動きが伴った中で生まれている。その中で、スペースと時間をいかに確保するかが大事である。このトレーニングでは、キーとなるエリアでの、フィジカルとテクニカルなスキルを選手に求めている。このトレーニングは、ファイナルサードで行われ、2つのゴールが使われる。コーチの合図で、選手はポールA,B、Cに順番にタッチして、ゴール前にダッシュをする。サーバー1からマネキンの前でボールを受けて、ワンタッチでマネキンをかわしてシュートを打つ。

 

Fwd 1

 

次のパートは、フィジカルの負荷を上げたものである。フォワードがシュートを打った後に、次のゴールに5秒間スプリントをおこなう。サーバー2は、6ヤードボックスにクロスを入れる。ボックス内は、間に合えばできるだけ近くからシュートを打っても良い。シュート後は、ジョグでスタート地点に戻る。

Fwd 2

 

コーチングポイント

スタートのスピードアジリティが必要となる所では、素早いターンとムーブメントを意識する。サーバー1からボールを受けたときは、マネキンを避けるのに充分に大きいタッチとボールをコントロールするのに適切な距離を両立しなければならない。また、シュートを打つのに充分なストライドが可能な距離でなければならない。シュートが終われば、即座にサーバー2のところまでダッシュをしなければならない。

発展編

1つめのトレーニングでは、マネキンをディフェンダーにかえて1vs1でも良い。2つめは、ゴールキーパーを入れても良い。ただ、全体で20秒以内に完了するように、時間制限を設けてスプリントトレーニングをしてほしい。(了)

友だち追加

Tags: コーチングアドバイス  練習アイデア  
By: Admin
Posted: 2017年09月04日 10:14

Reference: COACHING CENTER FORWARDS TO SCORE GOALS

トップページに戻る