Relative age effect とは?

Relative age effectを直訳すると、「相対的年齢効果」、ピンと来ないが、簡単に言えば、学年の区切りが選手にどのような影響を与えるかを検証したものである。つまり、日本であれば、4月生まれ~翌3月生まれが同じ学年になることに対しての影響を検証したものである。

ここで、一つ例を見てもらいたい。 

2007年 チェコ代表のナショナルジュニアチームには21名の登録選手がおり、全体の70%以上にあたる15名が1月~3月生まれであった。たまたま、才能のある選手が1月~3月に集中した?と考えるかもしれないが、FIFAの年齢の期日は1月1日で変更される。つまり、年齢の期日に近い選手であればあるほど(この場合は、1月1日生まれが最も理想的である)、身体的にはより成熟された選手となる可能性は高くなる。1月1日の選手と同年12月31日の選手を比較すれば、ほぼ1年の成長差があるわけだから。

同様の例は、イングランドのサッカーやカナダのアイスホッケー、アメリカの野球にも見られ、競争率が高く、早期に選抜や才能の振るい分けが行われる競技ではこの傾向が高い。逆に、マイナー競技であればこの傾向は低くなるとの指摘もある。

そして、ジュニア世代だけでなく、大人のプロスポーツにおいてもこの傾向は続くということである。身体が成熟する成人になれば、単純な成長差は見られないはずである。しかし、メジャー競技では早期の振るい分けが行われ、この傾向が続いていくというものである。日本のプロ野球やJリーグでも、4月~7月生まれは、相対的に多い傾向がある。

 

日本の遊ぶ子供サッカー : ストックフォト

 

●指導者は生まれ月で意図的に優遇しているのか?

多くの指導者は、生まれ月で何かを決めることはないだろう。ただ、おそらく現場で起こっている場面はこういったものだろう。

「4月生まれのA君は、同学年でも身体が大きく、スピードもあった。充分にストライカーとしての資質があることはわかった。しかし、シュートのテクニックとポジショニングには難があったため、それを徹底的に指導することで才能を伸ばしていった。最初は試合の中で、苦労することもあったが、そこを克服すれば大きな戦力になることはわかっていたため我慢強く起用した。本人の努力には頭が下がる想いだ。」 とコーチが語ったとしよう。

ここでは、A君の才能や努力、コーチの熱意や適切な指導を認めたうえで、2つのことに焦点を当てたい。まず、1つめは、同学年の中で身体が大きく、スピードがあったことだ。確かにそうかもしれない。その意味では4月生まれのA君はアドバンテージもある。そして、2つ目は、それにより足りない部分には目をつむり、時間をかけた指導、試合時間も確保できていることである。身体が大きいことにより、成長の環境が用意されやすいという考え方もできる。

もちろん、生まれ月などに関係なく、本人の努力や才能が最も重要であり、私たちが決めた社会のルールなどに資質が左右されることがあってほしくはないと思う。そして、誕生月に関係なく才能を発揮する選手が多数いることも否定しない。しかし、現実的には、どの世界のどのメジャー競技でも、同じ傾向がある。つまり、カナダのホッケー界では1月~3月の選手が多く、日本のプロスポーツ界では4月~7月が多いことは、その月に才能のある選手が出ているわけではなく、社会システムがそういった傾向を生みやすいということである。

ここからも、指導に関わるコーチたちは、成長の速度やプレー時間の確保をバイアス無く考えることが必要になる。イングランドでは、身体の成長が遅ければ、1つ下の学年に参加したり、所属チームとは別にプレー時間を増やす取り組みもある。

当然、全員が全員プロ選手になれるわけではないが、その可能性に対して私たちコーチが自分自身でバイアス(偏見)をかけてしまうことがないかは、慎重に考える必要があるだろう。(了)

 

※参考 天才!成功する人々の法則 著:マルコム・グラッドウェル 訳:勝間和代) 講談社

 

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Tags: コーチング用ヒント  実践的アドバイス  
By: Admin
Posted: 2016年12月24日 16:12

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