指導の基礎シリーズ:ドリブルで相手をかわすためのコンセプト

ドリブルで相手をかわせるようになるにはどうすればいいのでしょう? 美しく巧みなボールさばきで相手DFをあざむき、抜き去る。体を揺らすだけでボールには触れずに相手のバランスを崩し、逆をとる。特に難しい技をしているようではないのに絶妙な体の入れ方やボールの置き場所で相手をかわしてしまう。そんなドリブル力上達のためのキーポイント(コンセプト)を今回は紹介したいと思います。

 

(動画はイニエスタ選手のスーパードリブル集)

ところでドリブル、特にフェイントや足技というテーマに関しては皆さんの中でも調べたことがある方がきっと多いことでしょう。本やDVD、ネット動画など相手をかわすためのフェイントは数多く紹介されていますね。また、フェイントの種類ではなくステップワークやボールを置く場所などにこだわった指導方法もあります。ただ足技やフェイントができるようになってもなかなか実践で相手をかわすまでいかない・・・、そんなことってよくありますよね。

実はそこで足りないのは、相手がいることをふまえてかわすためのコンセプトなのではないでしょうか。

そこで今回は、プレーを自分自身で評価しながらよりクリエイティブな選手に育つよう、シンプルな3つのコンセプトを紹介しましょう。普遍的なコンセプトのもと、その一人ひとりにあった声かけがコーチからされれば、選手たちが自身で気付き、工夫や次のステップを見つけられるようになるはずです。また状況や相手に応じてそのシチュエーションに応じた足技やフェイントを自然に選ぶことが出来るようになることでしょう。

 

(図はトレーニングイメージ)

 

コンセプト1:              距離

仕掛ける際の相手との距離、つまり間合いのことです。これは自分と相手の瞬発力や反応力、それにスピードやそもそも体の大きさなどでも変わってきます。このため、トライ&サクセスorエラーをしながら自己評価を促すことがとても大切になります。「お、今回は相手を抜きにかかった場所が近すぎたな、次はもうあと30cmぐらい手前からいってみようか」や、「遠すぎて反応されてしまったのかな、次はもうちょっと近づいて相手が反応できない距離で仕掛けよう」、それに「距離がちょうど良かったから抜けたと思う!」といった感想を、様々な相手との1対1から感じ、発言させましょう。

指導者としては、「今の距離どうだった?」や、フェイントの種類はたくさん持っているのに相手を抜けない子には「今の距離だったらもっとうまくいきそうな技ってどんなのがあるかな」などといった声かけができますね。

ただ、選手自身が距離を把握できていないこともあります。それはしっかり相手を意識できていないときに顕著です。特に経験が浅い場合、ボールばかり見すぎてしまい、よい距離が見つけられないことがあります。その際はスピードを落とさせたり、オーガナイズを工夫して ボール+相手が意識できるようにしてあげましょう。

 

コンセプト2:             角度

「ドリブルで相手をかわす」とはボールを相手の体の右か左、それに頭上か股下から背後や斜め後ろのスペースへ動かし自身も相手のそのスペースに侵入することですよね。このなかで特に一般的な右・左から相手をかわす際にはどのくらい斜めもしくは横に、ボールを動かすかが重要になります。

もちろん動かしているボールが相手より自分に近ければ近いほどリスクは減ります。つまり直線的にいくよりも横を大きくまわれば回るほどボールはとられにくくなります。ただ、間横に動いているだけでは相手もついてくるので結局ずーっと片方にいくだけ、もしくは切り返すだけになってしまいますよね。

なので一度のチャレンジでかわすにはどのくらい角度にボールを動かすかが大事なポイントになります。

そしてこの感覚の獲得も選手本人がトライし続けて、自覚する必要があります。コーチからしっかり角度の大事さを示したうえで「仕掛けたときのドリブルの角度どうだった?」や「すごくいいタイミングで相手の嫌がる場所見つけたね!」といった声かけをしてあげましょう。

そうすれば選手本人たちが「ちょっと横に行き過ぎたから、相手がバランスを立て直す時間ができちゃった。」だったり、「かわす前にシザースで相手のバランスが崩れたからだいぶ縦に突破できた!」といった自己評価ができることでしょう。

 

コンセプト3:             かわしながら、そしてその後のスピードアップ

仕掛けながら、そしてかわした後のタッチでスピードに乗りましょう。どれだけよい距離と角度で相手をかわそうとしても、背後をとられないないように相手選手はボールの動きに反応してタックルを仕掛けたり、体や脚をボールと攻撃選手の間に入れボールを奪い取りに来ます。その反応スピードに負けないように、ボールをさらに押し出したり体を入れるための瞬発力、そしてかわしたあとに絶対に2度目のチャンスを与えないためのさらなるスピードアップが必要です。

経験の浅い選手の中にはボールをとられることを恐れて、コントロールの質を落とさないように常にゆっくりな選手もいます。コーチがスピードアップの大事さを教え、そして「ミスしてもいいんだよ」ということや「自信を持って何度でもチャレンジしてみよう」という声かけで、ミスを恐れない環境が作りましょう。

きっと相手をかわすスリルと達成感のために、何度も何度も挑戦するポジティブな選手が育つことでしょう。

 

 

おすすめトレーニング動画: 以下の2つの動画はドリブルの練習だけでなく、しっかりとその前にボールを受けるところ、かわした後のフィニッシュまで含んでいます。選手達にとって状況や優先順位がとても理解しやすいオーガナイズですね。

 

 

 

もう一歩上のレベルでの指導の際の声かけ方の例:

  • 相手が寄せにくい仕掛ける前のボールのもち方はどんな感じがいいかな?(一歩の大きさや ワンサイドカットしてくる相手の前に出している足のアウト側への仕掛けを意識させる。)
  • 相手が寄せているときはどこにチャンスがある?(より大きくなった背後のスペースや股下を抜くアイデアを促す。)
  • 1人目をかわした後スピードはどうする?(2人のDFのチャレンジ&カバーをかわすために更なるスピードアップを促す。1人目に再度チャンスを与えないことへの意識付け。)

 

近い将来、こんなスーパープレー集に圧倒的なクリエイティビティを持った日本人選手が登場すること、楽しみにしています!

 

(了)

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Tags: ジュニア対象  コーチング用ヒント  ジュニアユース対象  
By: Admin
Posted: 2015年08月03日 13:39

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