チーム・選手に変化の必要性を理解してもらうアプローチ

新入生が入学する4月、プレイヤーだけでなくコーチもまた新しい環境、新しいやり方で指導を再構築する時期かもしれない。ここでは、ビジネスの組織作りにも使われるチーム変革の方法を1つ紹介したい。

<ケース1>

県立高校2年生になる星野(仮名)は、中学時代から県選抜などに選ばれており、高校入学後、すぐに1年生から上級生の試合にフォワードとして出場する活躍をみせていた。コーチのあなたは、背が高く、スピードも高い身体能力もあり、上級生の試合に出ても遜色なくプレーできる星野を起用しているものの、2年生になり同級生の身体の成長が追いついてくる中で少しずつかつてのような突出した部分がなくなって来ているのを感じていた。

もともと、ボールコントロールなどの基礎技術は高く、中学時代から早熟で高い身体能力を武器にしてきた一方で、ディフェンダーとの駆け引きや周囲を活かすプレーには課題を残していた。あなたは、今年の新チームや来年のチームにも、星野には中心として活躍してもらうことを期待しており、ここで更なる成長をしてほしいと考えている。

 

あなたは、チームの監督としてどのように星野に変化をもとめるだろうか?

 

 

これに絶対の正解はないが、ひとつご紹介したい考えは、レビンの「変革のプロセス」という考え方だ。これは、変化を「解凍」⇢「変革」⇢「再凍結」といった段階に分けて切り分けるものである。

 

【変革のプロセス】

1.「解凍」:変化の必要性を認識させ、現状を崩して、これから変わろうと準備する期間。

変化の方向性を明示して、どのような姿を望むかを共有する。そして、過去のやり方との別れと現状にとどまる事の危険性を促す。

 

2.「変革」:具体的なやり方を受け入れ、変化の方向に向かい新しいやり方や行動を学ばせる期間。

コーチであるあなたが率先して変化に取り組み、強く変化を支持していく。そして、具体的な計画を決めて、本人とその周囲にも適切なコミュニケーションを行っていく。

 

3.「再凍結」:新しく身に付けたやり方を定着させて自分のものにする期間。変化を認識して、自ら確立していく期間。

 

例えば、このプロセスに基づいた一つの事例としてご紹介したい。

<モデルケース>

5月連休中、高校サッカー選手権でも常連の私立高校と対戦では、個の力の高いDFの前に星野はほとんどプレーをさせてもらえなかった。あなたは、試合後に星野を呼び出して話し合いの場をもち、これまでのプレースタイルでは伸び悩み、同じやり方が通用しなくなる可能性が高いことを話した。特に今日のような強豪校で、星野の特徴である身体能力がかき消されてしまえば、全く強みが活かされないことを伝えた。星野自身は入学時から試合にでているため、今のやり方でも良いと思っていたようだが、今日の対戦で多少自覚はしているようだった。そして、その上で、オフザボールの動きと周囲との連係を身につけることでプレーの幅が広がり、より一層成長を期待できると伝えた。【解凍】

 

 その後、あなたは世界のトップ選手がボールを受ける際にどのような予備動作をいれているかをわかりやすく編集したDVDを星野に渡した。また、配置転換として練習試合ではDFも経験させて、相手FWに見習うべき選手がいれば積極的にマークにつかせた。経験不足から失点に関わるイージーなミスも度々犯したが、あなたはチームの主力選手たちには、異なる経験を積ませるために星野を慣れないポジションを一定期間テストさせることを事前に伝えておいた。また、新入生の紅白戦ではFWとして、3タッチ以内でプレー制限を設けて参加させた。【変革】

 

 最初は、上手く行かず戸惑いを見せていたものの、星野もその必要性を理解し、少しずつプレーが変わってきた。半年後には、2年生ながらFWとして3年生と一緒に中心として活躍してくれる星野を頼もしく感じていた。中盤の選手と動き出しやタイミングの確認などを行う機会も以前に比べれば格段に多くなった。また、下級生にも動き出しや予備動作のやり方を教えているようだ。まだまだ荒削りな部分もあるが、持っている能力はもともと高いのでこれを継続することで、もっと成長できるだろうとあなたは感じていた。【再凍結】

 

これは、あくまでプロセスをわかりやすくイメージして頂くための事例であるが、変化のプロセスはご理解頂けると思う。あなた自身のやり方で、チームに変革の必要性を感じた時には参考にして頂ければ幸いである。(了)

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Tags: コーチングアドバイス  
By: Admin
Posted: 2015年04月01日 07:34

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