数字からみる、ペナルティキック

ペナルティキックは、ゴールキーパーとキッカー両方にとって意思決定の瞬間である。多くのプロフェッショナルのゲームでは、1試合平均ゴール数は2.5ゴール程度なので、ペナルティキックは試合結果に大きな影響を与えるだろう。ペナルティキックは時速200キロまでスピードが到達することもあり、蹴ってから通常0.25秒以内にゴールに入る。それゆえに、ゴールキーパーはボールが蹴られる前にどのように止めるかを決めなければならない。

統計的には、ゴールキーパーは左右へジャンプすることを示している。正しく予想してキックを止めるために移動する。このキーパーのアクションは果たして正しい戦略なのか??イスラエルのネゲブ大学のベン・グリオン氏の研究により、ゴールキーパーがどのようにペナルティキックを止めるべきか興味深い考えが導き出された。

研究ではヨーロッパ、南米のリーグ戦、欧州選手権、ワールドカップを対象に286のペナルティキックを分析した。それらPKを3つの高さ(ハイ、ミドル、ロー)と方向(右、真ん中、左)に分類しコード化した。枠を外れたシュートは今回の分析に含まなかった。また、分析ではキーパーも右、左、真ん中と分類しコード化された。単純な統計を使用して、ボールの飛んだ方向とキーパーの動きに基づいてシュートのストップ率を比較した。

ペナルティキックでは、枠に飛んだ85%のキックは成功している。半分より少し多い程度のシュートが、3分割したローの高さに飛んでいる。(57%) これらの低めのシュートは、80%弱の成功確率である。比較して、13%のシュートしか、3分割したハイの高さに飛んでいない。しかしながら、この高さのシュートは成功確率が100%である。

そして、より多くのシュートがゴールキーパーから見て右側に飛んでいた。3つの方向では、キッカーは真ん中に蹴った時に最も成功率が高くなっている。真ん中を狙ったシュートは87%の確率で入り、外側(右、左)を狙ったシュートは83%で、比較すると少し確率が高い。

これらの数字に基づくと、プロのキッカーが放つ40%は、ゴールの右下(キーパーから見て)に飛ぶ。しかしながら、高めに打つとその成功確率はより高くなる。そのため、最もキッカーが成功しやすい戦略としては、低めを狙うより高めを狙うことである。もちろん、ボールがバーを越えないという仮定の下で推測すると、高めに放たれたシュートはほぼ成功すると言っても問題ない。

ゴールキーパーの動作で、ゴールの成功率も説明できる。ペナルティキックをストップしようとして、右か左にジャンプするキーパーは94%である。これをすると、40%の確率でシュートの方向と同じ方向にジャンプする。(例、左にジャンプして、シュートも左に来る) しかしながら、同じ方向に飛んだとしても、シュートの25%~30%しか止めることができない。エリー博士の分析の中で最も興味深い部分は、キーパーが真ん中に静止してシュートが真ん中に来た場合である。その場合のストップ率は60%である。ペナルティキックの30%は真ん中寄りに来る傾向があり、真ん中にキーパーがポジションを取ることでキーパーのストップ率は従来の13%から33%以上に増えることになる。

このように、ゴールキーパーにとって最善の策は、ゴールの真ん中にいることになる。それゆえに、ゴールキーパーが左右に飛んだり、予測をつけることは数字の上では推奨されない。

では、なぜゴールキーパーが真ん中に立っている方が成功の確率が高まるのか?キーパーが左右に飛んだ時、キーパーがカバーできるのは1/9のエリア(通常、低いローエリア)と真ん中のエリア少しだけである。そのため、ボールがサイドネットや高めのハイエリアに飛べば、ほとんどシュートを止めるチャンスはない。しかしながら、キーパーが真ん中に静止すれば、おおよそ1/3の面積(ハイ、ミドル、ローエリア)近くをカバーすることができる。

もし、これらの数字が正しければ、なぜゴールキーパーはペナルティキックを止めるために左右にジャンプするのだろうか?その要素として、キッカーのしぐさからシュートを読み、飛ぶ方が最適な策であるという経験に基づいているのかもしれない。もう一つの理由は、「行動」へ対する偏った概念があるのかもしれない。これは、何もしないよりは、何かをした方が良いという認識に基づいて発生するものである。スポーツでは、フル活動で頑張っていれば、しばしばミスが容認されると言われている。左右へのジャンプが、努力しているように見え、キーパーがセーブしようとしなかったという認識をさけるのかもしれない。実際、ゴールキーパの調査では、大多数のキーパーが左右に飛んで点が入れられるよりも、真ん中に立ったままで点を入れられる方が気分が悪いと回答している。

あくまで統計的な見地からは、ゴールキーパーにとっては左右に飛ぶよりも真ん中に立っている方が有利であることを示している。ヒーローになるための努力をしているにもかかわらず、その状況はジャンプするよりもしないほうがよくなるかもしれない。(了)

References:

Bar-Eli M, Azar OH (2009) Penalty kicks in soccer: an empirical analysis of shooting strategies and goalkeepers preferences. Soccer & Society, 10:183-191.

Bar-Eli M, Azar OH, Ritov I, Keidar-Levin Y, Schein G (2007) Action bias among elite soccer goal keepers: the case of penalty kicks. Journal of Economic Psychology, 28:606-621.

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Tags: コーチングアドバイス  
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Posted: 2015年01月31日 09:54

Reference: Penalty Kicks… By the Numbers

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