Q&A:サッカー心理学者ダン・アブラハム氏 (後編)

世界的なスポーツ心理学者であり多くのサッカー選手のキャリアに携わってきたダン・アブラハム氏とouthtoprosoccer.com(訳者注:翻訳元サイト)のQ&A(後編)を紹介しよう。

5.            自信が無いことはパフォーマンスに悪い影響を与えますが、それに対してコーチはどのようにサポートできますか?

A: そういった選手には、日頃の自分自身への問いかけ「セルフトーク」をコントロールするようアドバイスすることが効果的でしょう。(訳者補足:セルフトーク、とは自分自身に意識的に、もしくは無意識のうちに与えているフィードバックで同じ現象に対しても個人によって変わる。例:キックミスのあとに・・・「ま、いいか次がある」「チームメイトは怒っているだろうな」など) Soccer Toughでも3章に亘り記述していますが、私は選手達が常日頃どのように自分自身と対話しているかが成功につながる重要なリンクの一つだと思っています。コーチも「選手達はどのようなことを毎日繰り返し自分自身に言い聞かせているのだろう」ということを常に気にかけておくべきでしょう。

ちなみにトレーニングフィールドこそがポジティブな「セルフトーク」のサポートをする上でベストな現場だと思います。選手達が練習を終えグランドを出る時、その日のトレーニングでは何がよく出来ていたか、自分自身の得意な部分を思い浮かべられるようアシストしましょう。

 

6.            ゴールセッティングはどれほど重要ですか?

これに関しては各個人によってとても大きな違いがあると言えます。私は最終結果として手に入れるためのゴールや目標というのをあまり重要視していません。それよりも一人ひとりが「何か有意義で重要なこと」を常に心に置いておくべきだと思っています。私には意義や意味の方が目標よりも大切に思えるます。「プロサッカー選手になりたい」ということは突き詰めて言うと、より幸せになりたい、難しいことをやり遂げたい、ということですよね。

結果としてのゴール、それはもちろん一人ひとりが持っていることでしょう。ただそれを例えば書き留めたりする必要があるのか、ということには疑問があります。

ところで私はプロセスの中でのさまざまな小さなゴールを設定することは大切だと思っています。私も選手達に、練習や試合に向けてそれらを設定するサポートをしています。ただ、私はそれをゴールとは呼んでおりません。私はそれを「トレーニングスクリプト」や「マッチスクリプト」と呼んでいます。というのも、それらが自分自身へのポジティブなセルフトークを導く役割を持っているからです。ちなみにSoccer Toughのなかでは2つのチャプターでこのマッチスクリプトの設定について述べていますよ。

 

7.            サッカー選手達は「集中力」というものを練習するべきだと思いますか?

はい、そしてピッチの中ですべきです!

例えばピッチ外の時間で(宗教的な意味ではなく)瞑想するといった行動が試合中の集中力を向上させるという意見には、あまりにサッカーから離れてしまっており私には同意できません。もちろん瞑想自体はとても良いことだと思います。しかしサッカーに特有の集中力を伸ばすためのトレーニングというよりも、一般的なストレスに対しての対応力を培うエクササイズなのではないでしょうか。(このことに関して私も自分が間違っていると証明されれば喜んで受け入れますが、研究者による証明というのは不可能な領域のことではないでしょうか。)

サッカーにおける集中力とは実は複雑なものです。脳特有の性質がそれを難しくしています。脳とはその状況で一番重要なものに興味を向けるようになっています。サッカーではそれはボールなのです。このため選手達はいつもボールに気をとられてしまうのです。そして脳は「問題のあること」に注目することを好みます。なので選手達はいつも審判のミスやアンフェアに見えるジャッジングに注意が向いてしまいます。サッカー選手は意図的に各状況で重要なことを判断し、また自分自身でコントロールできることに気を払うよう努力することが必要です。しかしそのためには毎日の積み重ねが必要です。しかもそれを完全にマスターするということはできません。Soccer Toughの中では多くの試合中、練習中の集中力を高めるための方法を紹介しています。

 

8.            よいチームを作る際(チームビルディング)にどのような要素へコーチは気を配る必要がありますか?

「全選手を大切にする」ということでしょう。時間的に難しいとしても、選手一人ひとりと話しをし、コーチがその選手個人に対して、またチームの中で何を求めているかを話す必要があります。

全選手に自分は特別な選手なんだ、と感じさせましょう、プレーレベルが低い選手こそ特にです。コーチは、それぞれの心に「最高にポジティブな気分にさせてください」と書いてあると想像しながら各選手と接するするべきでしょう。

また、コミュニケーション力も重要な点です。トレーニングの中でしっかりとしたコミュニケーションの向上と実践を指導し要求しましょう。全てのトレーニングでその点に努力させましょう。

(了)

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サッカーコーチング.jpで以前に紹介したダン・アブラハム氏の記事はこちら

 

アブラハム氏のホームページ:     http://www.danabrahams.com

アブラハム氏のツイッターアカウント:    @DanAbrahams77

 

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Tags: 全年齢対象  実践的アドバイス  
By: Admin
Posted: 2014年10月29日 12:58

Reference: Q&A with Dan Abrahams – Soccer/Football Psychologist

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