Q&A:サッカー心理学者ダン・アブラハム氏 (前編)

ダン・アブラハム氏は世界的なスポーツ心理学者であり、科学者であり、そして指導者でもある。 彼は常日頃よりヨーロッパ各地(特に英プレミアリーグ)でスポーツ心理学アドバイザーとして活躍しており、ウェストハムユナイテッドのリザーブチームで過去の選手として扱われていたカールトン・コールを18ヶ月間でイングランド代表に上り詰める支えとなるなど、過去10年間にわたり多くの事例を手がけてきた。

選手個人のサポートだけではなくプレミアリーグ組織、英国サッカー協会、PFA(英国選手協会)、LMA(英国サッカー監督協会)といった協会や組織にも携わっている。またグラスルーツ協議会や世界サッカーサイエンス会議でもプレゼンテーションを行った実績を持っている。

アブラハム氏はスポーツパフォーマンスの心理学的研究に情熱を傾けており、近年「Soccer Tough(サッカータフ)」というサッカー心理学に関する著書を出版している。

 

アブラハム氏のホームページ:                           http://www.danabrahams.com

アブラハム氏のツイッターアカウント:  @DanAbrahams77

「Soccer Tough」の購入:                                 こちら

 

それではYouthtoprosoccer.com(訳者注:翻訳元サイト)とダン・アブラハム氏のQ&Aを紹介しよう。

 

1.                  スポーツ心理学者はサッカー選手をどういった面で支えることが出来ますか?

A: 出来ることはたくさんありますよ。スポーツ心理学者はサッカー選手をオンザピッチ、オフザピッチの両方で様々な面でサポートできます。

まずオフザピッチでは、我々は選手の感情コントロールのインテリジェンス(そして忍耐力)そして社交性の面での成長をガイドすることが出来ます。ここでいう感情面でのインテリジェンスとは、苦しい状況への対応力、自己の心理状況の理解力、そして自信を築く力のことをいいます。一方、社交性とは、しっかりチーム・グループの一員になり、もし意見の対立があってもポジティブに対応でき、またコーチや両親など周りの人々との良い関係を築くことを言います。

オンザピッチにおいては、よいパフォーマンスの妨げとなる精神状況への対処を支えます。例を挙げると、自信がしっかり持てていない、集中力が下がっている、プレー強度のコントロールができていない、などといった状況があります。

私の理解では、スポーツ心理学者の選手サポートにおける大部分は、「練習と試合をしっかり繋げること」にあります。それはつまり、選手達に寄り添い、彼らがロジカルでかつ自信に満ちた思考で、試合を見据えて毎日行動できるよう導くことなのです。このような視点に立ってトレーニングを有意義に取り組む手助けや、試合前の準備ルーティンの設定のサポートなどを行っています。

そして我々の仕事のうち軽視されているのはコーチングスタッフとの活動でしょう。コーチや監督がトップレベルの雰囲気と環境を作る際の支えとなり、彼らのチームビルディングを助け、さらには選手達の状況把握能力や集中力、そして戦術パターンの浸透を伸ばすトレーニングセッションの構築もサポートをしています。

私は常に、スポーツ心理学者のベストの立ち位置は選手とコーチングスタッフの間のどこかだろう、と思っています。

 

2.            チームのモチベーションに問題があるとき、コーチはどのように対応するべきでしょう?

A: それはあなたがモチベーションをどのように定義するかによって違ってくるかもしれませんね。ただ、チームがもしダレているようなら個人の、そしてチームのターゲット設定が必要でしょう。またもし選手たちが共通の目標ではなく、それぞれ違った方向に進んでいるようなら、チームミーティングを開き、態度や取り組む姿勢に関してのルール作りとシーズン終盤におけるチームとしての目標設定をするとよいのではないでしょうか。

モチベーションの要素とは重要さ自信です。コーチとしてのあなたの役割はその二つを具体的に掲げ、認識させることでしょう。

 

3.            多くの選手が重要な試合を前に緊張してカタくなってしまいます。コーチとしてはそんな選手たちにどんな手助けができるのでしょうか。

A: 選手たちが試合前にしっかりと集中でき、自信を築ける準備ルーティン(準備メニュー)を作成する手助けをしましょう。私はいつも選手達にはウォーミングアップで身体だけではなく気持ちの面でも準備をするようにと声をかけています。また、適切な心理状態になるようにいくつかの「きっかけ」も用意していますよ。

こう行った準備のためには、前もってミーティングで選手たちにキックオフ1時間半前からの準備ルーティンを書かせることが必要になりますね。

 

4.            心的イメージとはどれほど重要なのでしょうか?

A: 選手にとって自信の心的イメージをコントロールすることは非常に重要です。どんな選手も自分のプレーしている姿を想像しますが、全選手がそのコントロール方法を知っているわけではありません。自著「Soccer Tough」では選手達に与えた比較的簡単な心的イメージをコントロールする方法のアドバイスを載せています。例えば、「自分自身のベストゲームってどんな風に見えて、そしてその時どんな気持ちになるんだろう?」と選手に問いかけます。この質問により、自分のポジティブなパフォーマンスイメージがアルバムのように広がることでしょう。この心的イメージはこれから始まる試合に対しての精神状態に影響を与え、結果的にパフォーマンス自体に良い影響が出ることになります。

ここで、一つ付け加えたいのですが、私も心理コンサルタントが心的イメージの現実的効力を説いているのを聞いたことがあるし、彼らの言う心理テクニックには科学的な根拠もあります。しかし、身体的なプレー能力の代わりを心的イメージ技術ができるわけではないので、あくまでその効果の範囲には気をつけるべきでしょうね。

 

後編に続く

 

サッカーコーチング.jpで以前に紹介したダン・アブラハム氏の記事はこちら

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Tags: 全年齢対象  実践的アドバイス  
By: Admin
Posted: 2014年10月29日 12:57

Reference: Q&A with Dan Abrahams – Soccer/Football Psychologist

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