ゲームに入るための効果的なウォームアップとは何なのか?

全てのサッカーコーチにとって最大の懸念は、チームがキックオフの時に精神的にも肉体的にも試合の準備ができていないことだろう。もちろん、準備には1週間使うこともあれば、それ以上使う時もある。しかし、キックオフの1時間前でもその不安は頭から離れないだろう。私たちは全員、チームにベストな状態でピッチに送り出し、プレーしてもらいたいと思っている。では、誰が何を必要とし、いつピッチに出ていくのだろう?この疑問に答えるのはとても難しい。

 

messi warmup

コーチをしていれば、いろいろなバリエーションのウォームアップを目にする機会がある。私は、ほとんどトレーニングセッションと変わらない強度で行うチームや2つの静的ストレッチ、1つの軽いジョグでピッチに向かうチームも見た。いろいろな方法でチームを試合モードへと導くが、必ずしも正しい答えがあるわけではない。私のアシスタントコーチのブッシュ氏とジョンソン氏は、CSUBでウォームアップの大部分の指揮をとる。最初、ブッシュコーチはフィールドプレーヤーを指揮する一方で、ジョンソンコーチはキーパーを見る。そして終盤にかけて、彼らはひとつになっていく。基本的には、40分前にアップをスタートさせて、10分前には切り上げるので、実質30分間身体を動かすことになる。我々のウォームアップのコンセプトは、段々と強度を高めて、試合の動き、状況判断、実戦的なものに近づけることである。我々は、ゲーム前のウォームアップが私たちのスタイル、カルチャー、最も重要な選手たちに適したものであると確信したかったので、我々のウォームアップをいくつかのテーマに分解してみた。

warm-up

フィジカル

ウォームアップの最初では(試合の45分前)、私たちは10分間を動的なストレッチに充てる。これは、いつもの練習を始める時とおなじルーティーンであり、これにより選手みんなの「スイッチ」が入り、動く準備ができる。ここでは、基本的な体操をするだけではなく、選手たちはリラックスさせて準備させることである。この段階で、気合を入れても意味がないので、私たちは選手が笑ってゲームにポジティブな気持ちで入ることができるようにしたい。ウォームアップを始める時に、音楽はリラックスするのに大きな助けとなるかもしれない。

戦術面

Warm-Up Directional

(ポゼッションゲーム: 青チームは黄色チームと、赤チームは緑チームと。ボールを逆サイドまでつなげれば1ポイント。90秒ごとに回復を取り入れ、その間に内側と外側が交代、)

私たちは、戦術的な面での習慣を強化するため、ウォームアップにポゼッションを使っている。シーズン中にあまりにも多くの情報を共有することはできないが、私たちは、チームのシステムにおいて3つの大原則を設定してあり、この練習もそれに基づいている。このゲームでは、90秒程度の短い時間で高い強度の運動を選手にさせて、その後90秒間回復に充てるというものである。回復時間のあいだ、選手は回復のためなら何をやっていもよい。このゲームの目的としては、単純なポゼッションではなく、身体の向き、ポジショニング、プレスのやり方に重点を置いている。

機能面

Fwds Functional

(これはFWを対象にした例である。1.コーチ(黒)からボールを受ける。2.戻る動きをする。3.ターンして飛び出す。4.コーチからリターンをもらう。5.ゴールへシュート。)

これは、私たちのウォームアップで、動作確認を伴う部分である。90分の中で各々の選手は異なる動きを要求されるので、各選手がそれぞれ個別のプログラムを行う必要がある。メンタル的には、これは選手に自信を与え、選手が得意な動きでウォームアップを終えることはとても肯定的な方法でもある。ディフェンダーは連携やフィードを、ミッドフィルダーは長めのレンジのパスを、アタッカーはエリアへの侵入やチャンスメイクを行うと良い。ここでも練習は全てが、ホイッスルが鳴った時からチームがあなたへ求めるプレーという視点から考えると良い。例えばフォワードに、私たちはパスを出して20メートルの位置からシュートさせるといった伝統的な練習はさせない。なぜなら、試合中にそのようなシーンはほとんどないからである。その代わりに、ゴールへのシュート、引く動き、スペースへの飛び出し、早いタイミングでのシュートなどを求める、クロスからのシュートなどに発展させても良い。

エネルギー

どんなにゲームプランがうまく運ぼうと、もし選手が疲れて気力を失えば、それでは決して上手く行かない。そのため、ウォームアップでエネルギーを使いすぎると、ゲームにうまく入れなくなってしまう。コーチとして、私たちは、これに関して非常に大きな役割を果たしているが、練習のスタート・ストップや過度な情報で大きな負担を選手に与えているかはあまり気に留めていない。ウォーミングアップのためのコーチングが目的ではないはずだ。あなたは選手が自信と活力を持ってゲームに臨んでもらうよう、試合で問題となるようなことを想定して、それに対処できるようにウォームアップをしてもらいたいはずだ。この理由から、ヘッドコーチとして、ウォームアップ中の私の役割はこの数年で大きく変わった。私はかつて積極的に関与して、選手たちに必要な情報を思い出させ、ゲームの準備ができているか彼らに聞いていた。しかしながら今では、私は一歩下がり、選手の邪魔をしないようにしている。不安と神経を逆なでするのが、ゲーム前にエネルギーを奪う大きな要因になるからだ。だから、私はこのやり方をやらないように気を付けている。私たちは、限られた時間でウォームアップをさせる一方で、数分間選手が必要なこともできる余裕を与える必要がある。選手によっては、もう少しストレッチが必要であったり、一方では水分補給が必要な選手もいるだろう。時間管理と練習再開によって継続的に選手にストレスを与えないように気をつけなければならない。

kagaw

ウォームアップは、プレーレベルや国によって変わる可能性はあるものの、私は2つの要因は阻害されてはならないと信じている。それは、常に選手とプロ意識を持った高いレベルに練習の基準を置くべきということである。私は、選手が試合に向かう時には、身体がひと回り大きくなったような感覚と自信をもって臨んでもらいたいと思っている。コーン、グリッド、空気の入ったボール、全てを完璧な順序で行うことで、小さなことが大きなメッセージとなる。それは、あなたのパフォーマンスには影響はしないかもしれない。しかし、選手にとっては特別なものと感じるだろう。もちろん、全てが完璧な練習プランなどないが、もしあなたが選手を価値があり、自信と活力を生み、環境を快適にさせてあげられているなら、あなたは試合を上手くスタートさせる機会を生み出していることになる。そして、万が一あなたがそれをしていないのなら、アシスタントコーチに責任転嫁して全力で非難することもできるだろう!(了)

 

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著者(UEFA Aライセンスコーチ)のツイッターはhttps://twitter.com/GaryCurneen

著者の刊行物の紹介はこちらよりどうぞ。http://garycurneen.com/book

 

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Tags: 全年齢対象  コーチングアドバイス  
By: Admin
Posted: 2017年02月16日 00:16

Reference: WHAT MAKES AN EFFECTIVE WARM-UP ROUTINE FOR GAMES?

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