W杯2014 チーム紹介:1 日本 ~高レベルな両ペナルティーボックス間~

もし今回のワールドカップがポジティブで積極的な数チームが少数で多くのチームが残念なほど守備的な戦いをベースにしたとしても、日本代表はきっと数少ない賞賛されるチームになることだろう。

多くの結果にこそつながっていないものの、日本代表の中盤はハイレベルな技術力を誇る。

中でもスタープレーヤーといえば香川真司と本田圭佑だが、彼らのチームスタイルの中でより重要な役割を担うのは2人の守備的MFかもしれない。(訳者補足:最近の試合では長谷部の怪我の影響で)2人が同時にプレーすることが少なくなっていたが、遠藤保仁と長谷部誠のコンビこそがチーム内でより機能することはここ数年変わっていない。

今回の日本代表チームはたとえトップクラスの相手でも試合の主導権を握れる可能性があるだろう。

 

日本代表にとって課題となるエリアは両ペナルティーボックス内だろう。日本代表は守備の面でケアレスなミスをしてしまったり、攻撃でも可能性の少ないシュートを放ってしまうこともある。さらにフィジカル面での弱さも過去のワールドカップではピンチの原因になっていた。ただ、日本代表を率いるのは戦略家のアルベルト・ザッケローニ監督だ。彼はイタリアでの監督時代は行く先々のクラブでの3-4-3を多様していたことで有名だが、日本では標準的な4-2-3-1を採用することが多い。彼の指揮する日本代表は運動量の多い積極的なサッカーを展開しそれはこれまでのフレンドリーマッチでも変わらないが、果たしてブラジルの暑さとタイトなスケジュールといった条件のなかでそれを披露できるかどうかには疑問が残る。

 

中盤の質

長谷部と遠藤のプレーは見ていて魅了されるほどのものである。両選手共にボールキープに長けながら、それぞれ別の役割を担う。長谷部は守備的MFとして非常に賢くボールを動かし、ピッチ中央からサイドへボールを供給するだけでなく、前線の選手にスルーパスを通すこともできる。現在34歳の遠藤は、かつてほどの動きの量はなくとも、素早く、そして意外性のある動きとパスを得意としている。なお、豊富な運動量を提供できる山口蛍にも出場機会が訪れるかもしれない。

本田と香川の2人は現在好不調に波があるものの、共通して動きながらボールを受けることができ、相手ゴールへの巧みな突破、そして効果的なラストパスを出すことを得意としている。本田は1トップのような形で「偽9番」としてプレーしたこともあるが、きっとトップ下の10番の位置でプレーすることとなるだろう。香川は基本的にピッチの高い位置で能力を発揮する選手で、特に相手守備ブロック間でボールを受ける際に最も輝く。相手最終ラインを崩すのみという状況で、決定的なパスを出したり爆発的なスピードを発揮することができる。

 

〈予想される日本代表の先発メンバー〉

ところで日本代表が最もクリエイティブになるのは清武弘嗣をスタメンに加えたときだろう。清武は本田や香川のように躍動感があり運動量が豊富で、ボールを常に要求し、攻撃的なパスを出す。ただ得点に結びつく決定的な仕事という意味ではまだ結果を出せておらず、これまで代表で多くの点を取ってきた本田や香川には及ばないといえるだろう。

 

ゴールはどこから生まれるのか?

このため清武の出場機会は限られたものになることが予想される。日本代表チームには冷徹なストライカーと言える点取り屋FWがいないこともあり、ザッケローニ監督は攻撃的MFに得点能力が要求しているのである。

この意味では現在最も得点に近いといえるいえるFW岡崎が右サイドウイングとして出場することも大いに考えられる。ドイツブンデスリーガのマインツで今シーズン32戦出場15点を挙げた彼の得点力は大幅にアップしたといえるだろう。(それ以前の2年半では合わせて10点を挙げるにとどまっていた。)岡崎のプレースタイルはシンプルで、圧倒的な運動量で守備陣の背後への侵入を繰り返す。きっとバルセロナのスペイン代表ペドロ・ロドリゲスがチームメイトがボールを持ったときに行う、突破の走りに似ているだろう。

 

ストライカーのポジションには大迫勇也の先発が有力視されている。もしかしたら比較的小さく軽いFWに思われるかもしれないが彼の動きは高質だ。ただペナルティーエリア内で存在感が出せるかは疑問である。

ザッケローニ監督が何を1トップの選手に求めているのかはまだ明らかではない。点取り屋タイプなのか、前線でボールを受けるターゲットマンタイプとして、周りの選手が上がる時間を作る選手なのか。もしかしたらそれもあって結局どちらのタイプでもスペシャリストを採用していないのかもしれない。ちなみに、選出された選手の中では柿谷曜一朗がその両方の資質を良いレベルでかねそろえた選手と言えるだろう。

大迫のパフォーマンス次第では、ザッケローニ監督が他の選手を起用することは想像に難くない。岡崎をトップに上げることも出来れば本田を「偽9番」として使うこともできる。さらには練習試合や2011年のアジアカップ優勝の際に採用した3-4-3システムへの大幅な変更も考慮に入れるかもしれない。この際には基本的には本田がやはり前に上がり、そして3人目のセンターバックが先発に加わることとなる。

 

守備陣

センターバック陣にも絶対的な存在がいないと言えるだろう。それでも吉田麻也は今シーズン所属先のサウザンプトンでは出場機会にはなかなか恵まれなかったとはいえ、彼のプレミアリーグデビュー時のパフォーマンスに比べると大幅な成長を遂げている。ゲームを読む能力とポジショニング能力は高いが、空中戦では強いとは言い切れない。もう1人のセンターバックには今野泰幸が入るはずだ。彼のボールキープ時のプレーは落ち着いているが、守備の際に圧倒的な存在感を発揮できるわけではない。結果的にもしかしたらチームの弱点になるのかもしれない。

 

一方サイドバック陣はとても充実している。長友佑都と内田篤人は共に素晴らしいの一言だ。長友は圧倒的な持久力に加え、ボールを持っているときにも輝ける。いつでも動きながらボールを受けられ、相手をフェイントやターンで翻弄し、両足から高質なクロスボールをあげることができる。

そして右サイドを任されるだろう内田は(まだ長友ほどではないかもしれないが)、同様に相手にとって脅威となる。内田はどちらかというとよりシンプルに素早くクロスをペナルティーエリア内にあげていくタイプだ。

両選手とも本当にハイレベルなサッカー選手であり、対戦相手のサイドの選手にとっては問題となることだろう。

 

まとめ

日本代表は美しく、良いチームである。チームにはゲームメーカーを複数擁しており、非常に賢いセンターハーフの2人と、サイドライン際を駆けあがる素晴らしいサイドバックもそろえている。もしサッカーの目的がポゼッションとアタッキングサードにボールを入れることであれば、日本は完璧なチームと言えるだろう。

しかしサッカーというスポーツにおける目標とは失点数以上の得点をあげ勝利することであり、そこに日本代表の課題がある。日本は窮地に追い込まれたときのタフさに欠けており、冷徹な勝負師になりきれない。ザッケローニは良い監督であり、チームはしっかりと準備され、試合中も主導権を握れるかもしれないが、それに伴うポイントを獲得できないことが危惧される。

 

 

 

クイックガイド

監督:アルベルト・ザッケローニ

セリエA優勝監督であり2011年アジアカップの日本代表優勝の際の監督。とても巧みな戦術間であり、試合の流れを変える選手交代をすることができる。

システム: 4-2-3-1、ただザッケローニ監督は昔からの3-4-3の信奉者でもある。

キープレーヤー:日本では得点をとれる選手が特に必要。岡崎こそがその選手ではないだろうか。

ストロングポイント:技術レベルの面では日本は大会参加中トップ10に入るのではないだろうか。

弱点:攻防の最後の局面(両ペナルティーボックス)で弱さを見せる。

キーとなる戦術ポイント:日本のボールポゼッションは弱点をカバーすることができるだろうか。

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Tags: ワールドカップ2014  
By: Admin
Posted: 2014年06月14日 05:54

Reference: Japan: good between the boxes

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