ユルゲンクロップ ドルトムントでの守備における切り替えトレーニング

昨シーズンのチャンピオンズリーグでユルゲン・クロップ監督のボルシア・ドルトムントがその戦い方で旋風を巻き起こしたことは記憶に新しい。 クロップ監督の守備システムはトレーニングでのハードワークの成果であり、今回は一部分のみであるがどのような練習メニューを通じて試合の準備がなされているかを紹介したい。

昨シーズンのチャンピオンズリーグでユルゲン・クロップ監督のボルシア・ドルトムントがその戦い方で旋風を巻き起こしたことは記憶に新しい。

バイエルンとの決勝では、両チームのトップクラスのプレースピードと決定力にこそ焦点が当たっていたものの、4-1で勝利しジョゼ・モウリーニョを戦術的に上回ったレアル・マドリード戦こそがその強固な守備システムが現れた最も良い例であろう。

ドルトムントの守備に対しては、クリスティアーノ・ロナウドも脅威とはなりえず、彼らの陣形はミッドフィールドと自陣ペナルティーエリアの間40ヤードでコンパクトに機能していた。バルセロナとは違い、相手陣地内でのボール支配率では譲っても、そこには人数を割きすぎることがないため、ドルトムントの守備を突破することは非常に難しいものとなっていた。

 

クロップ監督の守備システムはトレーニングでのハードワークの成果であり、今回は一部分のみであるがどのような練習メニューを通じて試合の準備がなされているかを紹介したい。

この多目的トレーニングメニューはいくつかの戦術的要素を含んでいる。

まずオーガナイズの中で各選手がそれぞれの役割や責任を理解すること。次に守備の局面が切り替わる瞬間にグループとして引いて相手の突破に対応すること。

ただこのメニューのとくに重要なポイントは、実際の試合で守備陣が対応しないといけない場面へのつながりがあきらかだということである。

 

SET-UP:

このトレーニングではハーフェーラインから10ヤードずつの両陣にマーカーでラインを引いてさらにそれを4エリアにわけ、その中に守備の選手と攻撃選手をひとりずつ入る。さらに、攻撃側にはタッチライン外側に1人ずつサポート選手がついており、またコーチがその背後でサーバーをしている。守備側ゴールにはキーパーを置く。(以下の画像の通り)

まずこのメニューの最初のパートでは、4人のDFとエリア内の攻撃選手4人がそれぞれのエリアでプレーする。攻撃側選手は横パスでボールを回し、ボール受けた選手のエリアのDFはプレッシャーをかける。ボールが次の選手にパスされそのエリアから出たら、プレッシャーをかけていたDFはスタートのラインにリトリート(戻る・下がる)する。これはとてもシンプルなプレッシャーとカバーのトレーニングだが、同時にDFはパスの出し手選手の体の動きなどをみて、ボールが自分のマークする選手に回ってくる状況を予測する練習にもなっている。試合中に相手選手に早くプレッシャーをかけ攻撃の選択肢を狭めてしまえるこの動きや能力はとても重要なものである。

 

そしてコーチの合図により、練習はすぐに6対4でゴールを目指すものに切り替わる。サーバー役のコーチが新しいボールをどちらかのサイドの選手に出し、それを起点に攻撃チームは点を取りに行く。

 

この切り替えの際DF陣にとって最初の役割はゴール方向にリトリートしながらもバランスを保つこと、ビデオでみられるように、ドルトムントのDF陣は内側から外側方向への守備をする。つまり、コンパクトに保ちながら、相手選手を外へ押しやる。

またゴール方向へリトリートはするものの、ペナルティエリア内へはずるずる下がらない。これは重要なコーチングポイントである。もしペナルティエリア内に入って守ってしまうと、ボールを持っているサイドの攻撃選手へのプレッシャーはかけられなくなり、またクロスボールに対して非常に弱くなってしまう。

 

 

守備の面での成功は個々の働きに加えそれがグループとして機能することにかかっている。トッププロの世界ではもし1人の選手でも集中力が切れてしまえば、ほぼ確実に失点につながると言っていいだろう。コミュニケーションはとても重要だが、8万人もの観衆で埋まるスタジアムでこのトレーニングのようなプレーを行うには全員が同じ波長にある必要がある。チームプレーのなかでの役割や責任を理解させ浸透させるという作業は、事前にトレーニングの際にフルスピードで行われていないといけない。

このように実際の試合をクリアに視野に入れた練習メニューを通して、ドルトムントやクロップ監督の成功が単なる偶然ではないことがわかるだろう。

ぜひ実際の練習動画を以下で確認してほしい。(了)

 

 

著者(UEFA Aライセンスコーチ)のツイッターはhttps://twitter.com/GaryCurneen

著者の刊行物の紹介はこちらよりどうぞ。http://garycurneen.com/book

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Tags: 練習アイデア  ユース・ジュニアユース対象  
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Posted: 2014年03月04日 16:59

Reference: JURGEN KLOPP – DORTMUND DEFENSIVE TRANSITION EXERCISE

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