ルイス・スアレスへのコーチング方法

ルイス・スアレスのような才能をもつ者に私達が退屈になる瞬間など決して無いだろう。万が一、あなたがサッカーに興味がないならば、スアレスという選手はリバプールのフォワードで、先週の日曜日(※記事執筆時)のプレミアリーグ、チェルシーとの対戦で、相手ディフェンダーのイヴァノヴィッチに噛み付いた選手である。

多くの批判のあとに、スアレスは自身の行動をツイッターを介して謝罪し、その後FAより10試合のプレミアリーグ出場停止を言い渡された。私はコーチという職業柄、選手・クラブ・監督のブレンタン・ロジャースからの反応を含めて、先週末に展開されたこの出来事に興味を持っていた。私はこの出来事や懲罰に対しての私の細かい見解を述べるつもりはない。ただ、その代わりにコーチの視点からこの「欠陥のある天才」の扱い方を検討してみようと思う。

もし、あなたがコーチで幸運にもルイス・スアレスをチームに持つことになれば、それには常に価値、価格が付随してくる。彼はピッチでは驚異的なことができるし、あなたに重要なゴールも決めてくれるが、たびたび頭痛の種も与えることになる。私は、ブレンタン・ロジャースはルイス・スアレスのような選手の取扱いに関してとても上手く仕事をしており、過去のスーパースターのために使われてきた実証済みの管理技術を採用していると考える。

スアレスのような選手は、多くのコーチングを必要としない。彼は、自身を向上させて、最高の舞台でのゲームでインパクトを残したいという欲求とスキルを十分なレベルで持っている。彼は、ロジャースが監督となる前からもそうであったし、これからもそうだろう。

しかしながら、ロジャースが賞賛に値する部分は、彼がチームの枠組みの中で、成功するためにこのウルグアイ人を上手く組み込んでいるということである。多くのスーパースターがプレミアリーグに来ても、システムが彼らに適さずに去っていった。彼は、シーズン30ゴールをリバプールのためにあげ、チームの中心であり、チームの魂でもある。

サッカー選手の管理としては簡単である一方、人の管理となるとそれは少々異なり、それがルイス・スアレスにとっては問題となる部分でもあるように思う。

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ルイス・スアレスの問題を要約すると、彼はレッドカードを受けることなく、この2シーズンで18試合もの試合を欠場した。彼はピッチ上での、以前から度々発生する振舞いに問題がある。それは、彼のマイナス面でもある。

リバプールのブレンタン・ロジャース監督のピッチ外でのスアレスの扱い方が、この問題を解くカギだろう。彼は、出場停止が発表された時にリハビリテーションについて話し、欠場するゲームではクラブがこの問題を話すことを許さなかった。私の意見では、解決策は監督やクラブからのアプローチの方法にあり、それがスアレスの将来の行動を形成していくだろう。

私の考えでは、振舞いを正すカギは、スアレスがイングランドサッカーの中でどのように自身を見つめ直すかにある。試合の日には、プレミアリーグのディフェンダーとピッチ上で戦うファイターとして、スアレスはそのパフォーマンスが彼の努力の結果として出なければ、自身を被害者意識と結びつけるだろう。この被害者意識は、枠外にシュートが外れ、ペナルティの判定が否定されるたびに大きなボディランゲージとなっていることが証拠である。そして、彼が最近出した声明にも証拠があり、罰は受け入れているが、依然として他の選手や彼らの取り扱われ方に対して言及していた。スアレスの目には、自分はいつもは権威者や幸運の女神から辛い仕打ちを受けている被害者と感じている。ファイターのメンタリティと被害者のメンタリティが結びつくことで、先週の日曜日のようなチェルシー戦の爆発が起こってしまったのだろう。

しかしながら、もし彼が全てのエネルギーをファイターのメンタリティへと結びつけることが出来た場合、彼はゲームの一部として失敗を受け入れて、相手やレフェリーではなく、再びサッカーに集中するようになるだろう。

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では、コーチはどのように選手のメンタリティを変えるのだろうか?

リバプールの事例から見ると、コミュニケーションがブレンタン・ロジャースの強みの一つであり、チームビルディングにおいて重要な役割を果たしているように見える。それは、アレックス・ファーガソンやジョゼ・モウリーニョがオールドトラフォードやスタンフォードブリッジで行ったのと同じように、リバプールでのある種の閉塞感を作り出すことである。

「外の世界は我々に対抗する」。

このメッセージは、選手に自分の仕事に集中するようにあなたが送るメッセージであり、あなたのチームがファンやメディアの非難から隔離・保護するものである。誰もチャンスを与えてくれるようなことはないという考えで試合に送り出すことは、コーチが作り出すことのできる最高の考え方である。それは、チームを結束させるのと同様に、心・決意そして情熱を鼓舞するものである。

しかし、ここでの疑問は、このような閉塞感を作り出すことはルイス・スアレスを妨げるか、助けるか?ということである。

彼は、周りは全て敵だと考えるような防衛手段やより多くのモチベーションは必要ないようにも思える。その代わりに、彼はフラストレーションに対処することに苦労し、それらに対処する代わりに失望の反応を示す。イヴァノヴィッチとのシチュエーションでは、リバプールフットボールクラブとしての悪夢であった。それに関しては疑いの余地がない。否定的な報道や最高の選手の欠場は、クラブにとって良いはずもない。

しかし、もしロジャースが状況を枠組みをして、このスーパースターのためにポジティブな好転を行うことが出来れば、敗戦の後のメディアにも同じ方法で枠組みをつくることが出来る。

私の意見では、これは今回の状況をどのように見るかというために不可欠のことである。ベテランのキャラガーやジェラードはプレーヤの考え方を形成するための代表プレーヤーとして使われることができる。そのメッセージは、失望やいら立ちはトップ選手であることの一部や一片に存在しなければならないということである。しかし、あなたはもし成功を望むのであればそれらをうまく管理しなければならない。

この状況をすぐに直す方法はないが、ピッチから離れたところでのたくさんの正しい行いが必要となる。態度を形成することは、日々の積み重ねの過程である。

スポーツ心理学者のビル・ベスウィックはかつて、難しいプレイヤーを扱うときには、「コーチは問題よりもその才能を強く愛さなければならない」と言った。スアレスは、確実に愛するに値する才能である。彼の環境がその後数ヶ月でどのように形成させるかは、その後も問題が何度も起きるかどうかで判断されるだろう。

最良のコーチは、ポジティブな面で選手を売り出していく。カントナが8ヶ月の出場停止になったときに、アレックス・ファーガソンが彼をどのように扱っただろうか?

カントナは、リバプールとの復帰ゲームで、顔には大きな笑みとともにピッチに登場し、1つもネガティブな要素なしに、6ヶ月後にはほぼ独りの力でユナイテッドをリーグ優勝とカップ優勝のダブルを導いた。彼は再び苦い経験になることを拒み、かわりに改善した。

コーチは、選手の将来には大きな役割を果たしている。あなたの選手にもポジティブな青写真を描いて欲しいし、もし選手に才能があればポジティブな結果をもたらしてくれるだろう。読者全員がルイス・スアレスの才能に疑いの余地はないことに同意すると思う。私達が毎週末彼のプレーを楽しむことができるように、ポジティブな方法で今後が導かれることを願おう。(了)

 

著者(UEFA Aライセンスコーチ)のツイッターはhttps://twitter.com/GaryCurneen

著者の刊行物の紹介はこちらよりどうぞ。http://garycurneen.com/book

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Tags: コーチの心構え  全年齢対象  
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Posted: 2014年01月13日 14:29

Reference: HOW TO COACH LUIS SUAREZ

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