イングランドプロリーグにおけるゲームパフォーマンスの違い

プレーするリーグのレベルを移動した時、フィジカル的にもテクニカルな部分でも明らかに違いが生じてくる。これは、様々なディヴィジョンの国内リーグや海外移籍をするプロフェッショナル選手に限らず、レベルの高いチームやリーグに上がることのあるユース選手にもあてはまることである。これは、おそらくフィジカルの容量、技術やプレースタイルのような様々な要因の結果であろう。

イングランドの大学やプロリーグに所属する研究者たちが、イングランドのプレミア、Div.1、Div.2に所属する選手たちを対象に運動量と技術的な比較を行った。プレミアリーグの選手たちは、高い強度の運動は少なく、下部リーグの水準とは反対に、技術的な能力が高かった。研究者たちは、これらの違いはおそらく異なるレベルでの使われているプレースタイルと関連しているのだろうと指摘した。

データはプレミアリーグに参加している選手たちから集められたものと、チャンピオンシップとリーグ1では、マルチカメラとプロゾーン分析パッケージを使用している。この分析では、パスの成功率のようなテクニカルな側面と同様に走行のスピードや量も提供している。

ここでは、いくつかの重要な発見があった。一つめは、プレミアの選手たちは、チャンピオンシップ(Div.1)やリーグ1(Div.2)の選手よりもトータルの走行距離が少なかった。1試合の走行距離の平均(全てのフィールドポジションを含んだもの)は、図の左側に示されている。リーグ1の選手たちは、プレミアの選手よりも1000m程多くの距離を走っている。(11.6km VS 10.7km) これは、全てのどのポジションでも運動量が増えている。走行のスピードを見てみると、下部リーグの選手はプレミアの選手と比較して長いスプリントと速いスピードの走行を行っている。逆に、プレミアの選手は、下部リーグより歩く距離が多いという結果が出ている。以前の研究では、プレミアとチャンピオンシップの選手では同じ程度のスプリント数を示していた。そのため、チャンピオンシップとリーグ1の選手はおそらく1試合の中で、長いスプリントと長いハイスピードでのランニングを行っているということだろう。

 

研究者たちは、またプレミアのサイドバックとセントラルMF、サイドMFは、前半と比べて後半は走行距離が少なくなっていることも発見した。これは、チャンピオンシップとリーグ1の選手には見られなかった。興味深いことは、プレミアの選手よりも下部リーグの選手の方が運動量をずっと維持し続けているということであった。これは、最もフィジカル的な要素を必要とするポジションのプレミアの選手は、最適なフィジカルコンディションではないのではないかという一つの仮説を導いた。しかしながら、3つのカテゴリーでの疲労のレベルなどを洞察できるだけの身体的、代謝的な測定結果はなかった。

二つめは、プレミアの技術的な部分が下部の2リーグよりも優れているということを発見した。プレミアの選手は、より多くのパスを通し、また多くの前線へのパスを通しており、チャンピオンシップやリーグ1よりもパスの成功率も高かった(図の右側)。例えば、プレミアの選手はリーグ1の選手に比べて25%近く前線へのパスの成功率が高かった。一方で、下のリーグの選手はパスのインターセプト、クリアーやヘッドなどがより多くなった。

上位リーグの選手が下部の選手より走る量が少ないことには驚きはない。これは、様々なレベルでの選手の身体的なパフォーマンス研究でも報告されている。むしろ、今回の研究で興味深い部分は、身体的な部分に加えて技術的な測定が盛り込まれている点である。著者は、より少ない運動量とテクニカルな側面の増加は、プレミアリーグで戦うチームが採用しているボールを保持する戦術から示されているものだと推測する。これは、チャンピオンシップやリーグ1ではより直線的で、ロングボールが使われるということである。著者が、以前にプレミアリーグの研究で指摘したことは、成功できないチームは、成功するチームと比較すると、ボール保持ができずに走る量が増えていくということであった。また、格上との対戦でのプレーは低いボール保持率とより多くの運動量が必要になり、おそらくそれは、相手選手を止めて、ボールを奪い返すためのプレーと関連してくる。

このように、ダイレクトなプレースタイルは、強く、たくさんのスプリント(特にロングダッシュ)や結果として少ないパスの本数、多くのインターセプトやヘディングを行うようになる。一方で、ポゼッションスタイルのプレーでは、少ないフィジカル的な要求とテクニックに関連した短いダッシュが結果として出る。それに加えて、少ないボールボゼッションが、高い強度のディフェンスとボール奪取の負担として出てくる。

この研究の結果は、トレーニングをしている選手たちにとって重要な意味となる。様々なレベルでの身体的、技術的な要求を理解することは、コーチたちが適切なフィットネスのトレーニングプログラムを組めることことを可能にする。トレーニングプログラムは試合で必要とされる能力と一致する必要がある。また、技術的に向上していくことで、フィジカル的な需要を低めていく可能性を作り出す。適切なポゼションスタイルを築くことによって、高い身体的な負担の割合を減らすことができるかもしれない。これは、試合が進んでいく終盤で、選手の疲弊を防ぐという結果になるだろう。(了)

 

Reference


Bradley PS, Carling C, Gomez Diaz A, Hood P, Barnes C, Ade J, Boddy M, Krustrup P, Mohr M (2013) Match performance and physical capacity of players in the top three competitive standards of English professional soccer.Human Movement Science, http://dx.doi.org/10.1016/j.humov.2013.06.002.

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Tags: データ  リサーチ  
By:
Posted: 2013年11月29日 08:04

Reference: Match Performance Differs Across English Professional Leagues

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