CLリーグファイナル: バイエルン・M 2-1 B・ドルトムント

バイエルンは、最初ゲームに入るのに苦労したが、後半の優れたパフォーマンスにより結果として勝利を勝ち取った。

ハインケスは、センターバックにファンバイテンよりもボアテングを選択した。これは、本当の意味で、監督が唯一選択しなければなかった選手起用だろう。

ユルゲン・クロップは、予想通りの11人を選出した。

ドルトムントは素晴らしいスタートを切り、バイエルンのバックスを押し下げ、バイエルンが1本のシュートを打つ前に6本のシュートを放った。しかし、結局のところはドルトムントのプレスが徐々に緩み、バイエルンが絶えずドルトムントの背後のスペースを利用するようになった。

ドルトムントのプレス

クロップは、ここ2試合のバイエルン戦で4-3-3を使ったのに対して、ここでは3年間主に慣れ親しんできた4-2-3-1を選択した。これは、マルコ・ロイスが左のポジションでプレーするのではなく、レヴァンドフスキの後ろでサポートすることを意味した。

このフォーメーションは、ドルトムントの高い位置でのプレスを可能にし、ロイスとレヴァンドフスキがセンターバックと2vs2を形成することができ、またバイエルンの2人のMFが前線にパスすることを阻止できるポジションに入ることができた。

彼らは、試合の序盤グロスクロイツとブラスチコフスキによって良くサポートされていた。どちらも、高い位置まで押し上げ、バイエルンのサイドバックにタイトについた。一方で、ベンダーとギュンドアンはそれぞれ、ハビ・マルチネスとシュバインシュタイガーを良く見ていた。ベンダーは、マルティネスに序盤にファウルをしたが、それはこのスペイン人MFがバルセロナ戦でしたようなパフォーマンスで、中盤を支配させることは許さないということを少なくとも知らせた。

机上では、ドルトムントの問題は2ライン上で自由に浮いてしまうトマス・ミュラーであった。しかし、ドルトムントは、前半はコンパクトに保ち、4バックはラインを上げ、バイエルンはボールを通す時間が持てなかったので、ほとんどライン間を利用されることはなかった。

シュバインシュタイガーは深くポジションを取ったが、前線にパスを通すことはできなかった。

バイエルンは、とても序盤のハイプレスに苦しんでいた。シュバインシュタイガーはしばしば、拮抗した展開のビッグゲームの序盤ではパフォーマンスが乏しいことがある。彼は、3vs2の状況をつくるためにバックスまで下がり、バイエルンの押し込まれた展開を打開しようとしたが、シュバインシュタイガーは前線へのパスを出すことはできなかった。マルティネスは、チームメイトが近くにいない所でおかしなポジショニングをしていた。そして、この展開によりバイエルンは、トニ・クロースとミュラーはMFの位置に入ることができず、クロースの優れている面でもある、前線へのパスを供給できなかった。

前半、バイエルンはドルトムントの2倍のパスをした。しかし、彼らはポゼッションの点では支配したかもしれないが、ボールを前線に運ぶ点では非常に苦労した。パスの数ではなく、パスをしたゾーンという点では、特に興味深い結果だろう。

ドルトムントの突破

ドルトムントは、優先的にロイスを経由して攻撃を行った。ロイスは、狡猾にセンターにポジションをとり、チャンネルの間のスペースでボールを受けた。彼はセンターバックをポジションから釣り出し、バイエルンは彼のドリブルに非常に手を焼いていて、ゲームを通じてロイスに対してのファウルでゲームが止まることが多かった。

ドルトムントの問題は、もちろん、前半の支配を完全に活用できなかったことだ。そして、ロイスが何度かレヴァンドフスキとコンビを発揮する一方で、2人のワイドプレーヤとのコンビはあまり無かった。しかしながら、ドルトムントの二人のワイドプレーヤはこの数シーズン、アタッキングにおいて不可欠な役割を果たしてきた。この試合では、レアルやマラガ戦で見られたような、あまり密なコンビが見られなかった。これらのゲームでは、一方のワイドプレーヤーが真ん中に入りアタッキングに参加していたが、ゲッツエの不在により、こういった攻撃ができなかった。ドルトムントは、明らかなゴールチャンスよりもハーフチャンスが数多く作り出されていた。

バイエルンのゲームへ移行

ドルトムントに対しては、バイエルンは通常中盤でのポゼッションサッカーを試みる。ただ、意図してか、偶然か、この日の彼らは実際のところバルセロナ戦のような戦い方を再現していた。彼らの最初のシュートチャンスは、マンジュキッチのヘッドで、それからはコーナーキックからのチャンスを、高さとキックの精度を活かしてチャンスを作り出していた。

さらに、長くボールを動かすのではなく、カウンターアタックで脅威を作り、速い展開でドルトムントディフェンスの裏のスペースを利用していた。

ロッベンの突出

30分以降のキープレイヤーはロッベンであった。ゲームの序盤では、ワイドにポジションをとっていたが、彼は絶えずドルトムントの背後に駈け出して、ハームタイムの前までに3回のゴールチャンスを創出していた。

最初は、反対サイドのミュラーのスルーパスからであった。ドルトムントの弱点の一つに、プレスをかけた時の幅の狭さであり、彼らは逆サイドに素早く展開されるとそれが露呈される。ロッベンは、素早く前に出たヴァイデンフェラーによりストップされた。

二つ目は、その少しあとで、ロッベンが再びディフェンスの背後に入り、マンジュキッチも中央で待っていた。たが、ヴァイデンフェラーに当たりゴール外に外れた。

三つ目のチャンスは、ダンテからの前線へのフィードから生まれた。バイエルンはドルトムントのプレスのせいで中盤でのボールキープができなかったので、ロングボールでダイレクトに、ドルトムントの高いラインを利用するのは論理的なアプローチであった。ロッベンは、フンメルスの背後を取ったが、シュートはヴァンデンフェラーの真正面に行ってしまった。

後半

後半には二つの重要な機能があった。一つは、ドルトムントのプレスが落ちたことである。バイエルンは、ピッチの高い所でボールを保持し、ゴールスコアリングポジションにボールを入れる機会を増やした。バイエルンのセンターバックは依然として、最もボールを保持するポジションであったが、ドルトムントがバイエルンを押し込むだけのエネルギーがなかったため、自陣のボックス近くではなく、よりハーフウェイライン近くで頻繁にボールを触っていた。

ドルトムントは前半と比較すると、より自陣深くでボールを奪うようになっていった。

そして、バイエルンは、バックパスの頻度が徐々に減っていった。

顕著なものとして、バイエルンのプレッシングはより効果的であった。前半、マンジュキッチとミュラーは、深くまで下がってきたが、しかしここでは、彼らはドルトムントディフェンスのプレッシャーをかけられてのことであった。ピシュチュクは、50分以降に2度、右サイドの位置からクリアをしようとした場面は、興味深いシーンであった。それは、ドルトムントが自陣でプレッシャーに晒されていた初めての場面であり、ゲームの様相が徐々にかわっていることを示していた。

ロッベンをセンターフォワードの位置に

しかし、本当の意味で特徴は、ロッベンのポジションチェンジであった。彼は、ミュラーと前半何度かポジションをかえたが、後半ではより固定的であった。ロッベンはセンターフォーワードになり、継続的にディフェンスの裏に入り込み、ミュラーはより多くの時間右サイドに位置していた。これは、大きな主要大会では以前にも見られたことであった。2010年ワールドカップファイナルでは、ハームタイムの後にロッベンはセカンド・ストライカーとしてプレーし、カシージャスとの1対1のチャンスを2度創出している。

ドルトムントのプレスが落ちたにもかかわらず、ディフェンスはラインを高く上げすぎていた。そして、これにより彼らは、ロッベンに裏のスペースを使われることになり多くのチャンスを許してしまったのが、敗因になるのだろう。

後半の多くの時間、ゲームは極めてハイテンポで進んだ。サイドは広がり、ボールは端から端まで速く展開された。ゲームはおそらくコーチの好みからは外れたものであった。彼らは、ゲームの流れやプレーの方向性においてコントロールをほとんど持っていなかった。そして、ゲームがオープンになり、選手も厳格なゲームプランに従うよりも、自分達で試合を作るような形になっていった。

ドルトムントディフェンスの裏をつく、5回のチャンス

しかし、バイエルンのアタッカー、特にロッベンはドルトムントの高いディフェンスラインを利用し続けた。この観点からバイエルンの強さを5つの重要なシーンにまとめられる。

最初は、先制点の場面である。ロッベンはセントラルポジションでボールを受けて、リベリーに預けて裏に飛び出していった。GKのヴァイデンフェラーを周りこみ、マンジュキッチが押し込むために中に折り返した。最後のクロアチア人のフィニッシュはシンプルであった。しかし、その前の動きで、彼はロングボールを胸で納めて、ロッベンがアタックを始めるのを助けた。このようなシンプルなプレーが、今シーズンバイエルンで彼が必要不可欠であった大きな理由であろう。

それから、62分にはアラバからの大きな斜めのボールがマンジュキッチに渡っている。彼はディフェンスの裏に抜けたが、角度のない所からのフィニッシュは乏しかった。そして、ロッベンは、中で彼からの折り返しを待っていた。

ドルトムントの同点弾の後(ダンテのミスをギュンドガンがPKで決めた)、バイエルンが71分に再びディフェンスの裏をついてチャンスを作った。ミュラーが右から内側に切れ込みシュメルツァーをかわし、ヴェイデンフェラ―を回り込み(これはいつものシーンで、ドルトムントのディフェンスが高いので、彼は多くの時間、スイーパーとしてもプレーしなければならない)、ゴールへとボールを流し込もうとした。再び、ロッベンが中央で待ち構えていたが、スボティッチが劇的にもロッベンの前でクリアをした。

76分にも、ロッベンとミュラー、マンジュキッチのコンビでディフェンスの裏を突いた。この時は、ロッベンのパスからミュラーが抜け出し、マンジュキッチがサポートに入っていた。ミュラーは、スボティッチにファウル気味に倒されたが、同時にそのボールがマンジュキッチへのパスとなり、角度のない所からのシュートはサイドネットとなった。

この点で、裏へのボールが出ることで、バイエルンへの4つのチャンスを与えてることからも、ドルトムントは自陣深くまで引いて守る必要があったのは明らかだった。しかし、彼らはそれを選択しなかった。そして、終了の2分前にその代償を払うこととなった。

ボアテングからのリベリーへの頭越しのチップパスは素晴らしいパスであり、視野の広さを示した。しかし、ドルトムントがバイエルンのチャンスを招いていたとも言える。バイエルンは単にディフェンスの裏にボールを出して、センターバックを後ろ向きにすれば良かっただけであった。

この時は、リベリーのパスがボックス内に走りこんだロッベンに渡り、ヴェイデンフェラ―を脇を丁寧に抜いて決勝ゴールを導いた。

結論

勝敗を分けたものにはいくつかの小さな要因がある。ボアテングのボール保持時のプレーやリベリーのディフェンスでの貢献度、マンジュキッチの空中戦の強さ、マルティネスの強さなど、バイエルンが勝った小さな理由は存在する。

しかし、これは極めてシンプルな戦術的なせめぎ合いでもあった。ドルトムントは前半、高い位置からのすばらしいプレッシングで先手を取った。バイエルンは、ボールを前に運べず、かなりの時間プレッシャーにさらされていた。

しかし、ドルトムントのハイプレスは2つの結論を導き出した。一つは、高いディフェンスラインであり、もう一つは、後半の疲れによるボールに対してのプレスの緩みである。これは、諸刃の剣である。ドルトムントのディフェンスは裏への対応と走り込みに対して得意ではない。バイエルンは、継続的に裏を突き、ロッベンのセンターフォワードへのスイッチが、先制点のアシストと決勝点を生み出したことになるのだろう。(了)

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Tags: データ  実践的アドバイス  
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Posted: 2013年05月27日 08:36

Reference: Bayern Munich 2-1 Borussia Dortmund:

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