守備の原則 4と5  Principles of Defence 

どの国の指導者資格の講習会でも話に上がるトピック、「守備の原則」、最終回の今回も2項目を一度に紹介!堅いディフェンスのための大事な要素を再確認しよう。

 

バランス

守備の原則におけるバランスとはボールから遠いエリアで要求される。このようなエリア、つまりはボールから見て逆サイドなどではボール保持者へのプレッシャーとその選手のカバーではなく、バランスをとったポジショニングこそが求められるのである。

 

バランスに配慮されたチームというのは即座のプレッシャーをボール保持者にかけながらも、逆サイドに展開された際は、すぐにゴール前の危険なエリアへの侵入を止められるよう選手がいるチームと言える。

図138ではD3とD4の正しいポジションバランスの取り方が示されている。もしこの状況から相手選手3番か4番にパスが出されたとしても、D3とD4はボールが移動している間にポジションを修正し即座のプレッシャーをかけることが出来る。もし背後にボールを出されたとしてもD3とD4のどちらかが最初にボールに追いつくのは明らかである。

 

逆に図139ではボールに寄り過ぎてしまいこのポジショニングでは、前線でのサイドチェンジのボールに対するもろさを露呈している状況を示している。

 

 

「コンパクト」にすること

「現代サッカー」の守備において最も一般的に浸透している原則といえば、「コンパクトにする=エリアを制限すること」であろう。守備においてコンパクトにすることとは、チーム全体が縦にも横にも各選手間の距離を縮めプレーエリアを狭くし、お互いをカバーしやすくするということであり、さらにボール周辺にかける人数も増やすことにと言える。

トップレベルのチームではこの「コンパクトにすること」が特に洗練されており、実際にプレーできるエリアがピッチ全体の3分の1や4分の1ほどまで縮まることもある。

コンパクトにすることこそ「バイタルエリア(=穴)」(訳注:バックラインと中盤の間のスペース)への最も効果的な対処の仕方である。バックラインがミッドフィルダーの方へ上がればライン間の距離が狭まり結果「穴」が縮まる。それによって相手ミッドフィールダーのバイタルエリアでのプレーを大幅に制限することが出来る。

実際コンパクトの守備陣形を作るには、バックの選手達が前へ押し上げて中盤の選手との間のスペースを狭くすること、そしてさらに中盤選手とフォワードの選手の間のスペースも、フォワードの選手がリトリートする、もしくは中盤が前へ上がることで狭くすることが出来る。また逆サイドの選手達が中央方向へ寄ることで、さらに中盤のスペースを狭くすることが出来る。

 

上の図140、そして図141でコンパクトになっていない場合となっている場合の違いが明確にわかるだろう。

 

図140では守備チームの陣形が広がりすぎている。

この状況では攻撃側1番の選手が簡単にバックラインと中盤の選手の間のスペースでボールを受け、攻撃をバックラインに進めることが出来ることに気がつくはずだ。

 

一方図141では正しくエリアを狭くコンパクトにしている、つまり守られるべきエリア(点線内)のスペースが制限されている。バックラインは押し上げて中盤との幅を縮め、M5選手は内側に寄せることでコンパクトにすることと同時に守備陣のカバーに貢献している。

 

ところでこの状況ではF1とF2は相手チームに断固として3番・4番選手へのサイドチェンジをさせないようにしなければならない。これを許すとチーム全体がもう一度最初からプレッシャーをかけなおさないといけなくなる。

 

現代では多くのチームがスイーパーをおかずにフラットな守備ラインを敷いている。スイーパーがいないなかでディフェンスラインを押し上げてコンパクトな陣形を作るためには、ゴールキーパーのより一層の貢献が重要となり、結果、「スイーパーキーパー」と呼ばれる役割が生まれた。かつてのようにキーパーがゴールエリアの中のみでプレーするような時代は過ぎ去ってしまったのである。

ゴールキーパーも前に出て、ディフェンシブサード(訳注:ピッチを横に3分割したときの一番自陣ゴール側の3分の1のエリア)全体の指揮をとり、バックラインの裏に出たスルーパスに真っ先に駆けつけることが要求されているのだ。

 

スピードのあるバック陣に加えて速い、動けるゴールキーパーがいるチームはディフェンスラインをハーフェーライン付近まで押し上げ、たとえボールを失ってもラインをずるずる下げる必要は無い。

 

一方、もしキーパーやバック陣にスピードが無い中でコンパクトさを保とうとすると、ボールを失ったらすぐにチームが自陣ゴール前にリトリートしキーパーとバックラインの間のスペースを減らさないといけないだろう。

 

(了)

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Tags: 全年齢対象  コーチングコース  実践的アドバイス  
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Posted: 2013年03月15日 23:42

Reference: Defending Principle: Compactness

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