Corinthians 1-0 Chealsea:2012クラブワールドカップ決勝レビュー

コリンチャンスがチェルシーのパスを分断し、ワンチャンスをものにして、典型的な1-0の勝利の形でクラブワールドカップトロフィーを掲げた。

The starting line-ups(先発イレブン)

チッチ監督(コリンチャンス)は、10番のダグラスをベンチに残し、代わりに右サイドに規律性の役割を求めてホルヘ・エンリケを選択した。

ラファ・ベニテス監督(チェルシー)は、ダビド・ルイスをセンターバックに戻し、イバノビッチを右サイドで使った。フランク・ランパードとラミレスが中盤に、ビクター・モーゼスがオスカーではなく先発で選ばれた。チェルシーは、チャンスの数はあった~特に後半~、しかしながら、チッチ監督の戦略は全体的には効果的であり、特に相手の良さを消すことにおいては特出していた。

テンポ(速さ)

あまり機会が多くない、ヨーロッパと南米のチームの国際マッチでは、試合のテンポが非常に重要になってくる。コリンチャンスは、南米のチームにしては、より「ヨーロッパ的」なチームの一つではあるが、この試合の注目すべき特徴は、彼らが試合のテンポを遅くしようとしたところであった。

チェルシーは、その3日前にモントレイを圧倒している。メキシコのモントレイは、プレミアリーグ特有のテンポ(速さ)に対応できず、マタとその他のチェルシーの選手に中盤であまりにも多くの時間を与えていた。そして、チェルシーは、ハーフタイム直後の10分間の短い時間でモントレイと決着をつけた。

これに関して、コリンチャンスは’テンポの争い’において明らかに主導権を握り、ゲームのスピードを緩め、我慢比べにもっていこうとしていた。彼らは、ボールのある時と無い時で、2つのアプローチをしていた。ボールポゼッションにおいて、カウンターアタックのチャンスにならなかった時、チームはできるだけ長くボールを保持することで、チェルシーのディフェンス陣を戻させ、ピッチの高いところまでプレスに来させないように、パウリーニョやラルフのようにボールの扱いが巧みな選手に持たせていた。

しかしながら、コリンチャンスはボールの無いところでもクレバーであった。彼らは、チェルシーのセンターバックにあまりプレスに行かなかった。しかし、最前線のパオロ・ゲレロはダビド・ルイスがボールを前に運ぼうとするとプレスをかけ、ガリー・ケイヒルに対してはフリーにさせていた。ゲレロがパスコースを遮り、チェルシーのパステンポの低下に貢献し、コリンチャンスは中盤のハーフウェイライン付近でプレスをかけられるポジションをキープし、ランパードやラミレスから前線のFWへのパスを分断することができた。

前線のマタに対しては、時々あまりにも大きなスペースがあり、コリンチャンスは決してコンパクトではなかったものの、チェルシーは中盤にスペース(もしくは、マタを見つける視野を持った選手)を欠いていた。結果的には、チェルシーのパスは意図がなく、横パスを繰り返し、試合終了の笛までゲームテンポを上げることはできなかった。

Formation(フォーメーション)

 チェルシーは、単純な4-2-3-1であったが、コリンチャンスは変則的な4-2-3-1の形でプレーしていた。右には、エンリケがポジションをとり、アレッサンドロにはディフェンスのサポートをさせていた。これは、チェルシーのモントレイ戦でのサイドアタックがいかに危険であったかを考慮してのことであった。しかし一方で、コリンチャンスはとても流動的でもあった。4-2-3-1では、通常はエメルソンが後方にさがり、DFの前の中盤の位置で守備をする。しかし、エメルソンは、カウンターアタックに備えて高い位置にポジションをとって、たびたびゲレーロの近くでサポートをして、ダニーロが中盤の真ん中にいる代わりに、左サイドに位置を移していた。

 ベニテスが、オスカーではなくモーゼスを起用したことも、この流動性にあった。生粋のウインガーが、サイドバックを相手に1対1の攻防で有利となることを期待していた。そして、コリンチャンスの流動性を低下させるためには、チェルシーは速いテンポでのゲーム展開を必要とする1つの理由だった。もし、展開が速ければ、コリンチャンスがディフェンスの陣形が整う前にそこを突くことができる。しかし、もし展開が遅ければ、コリンチャンスはダニーロをポジションまで戻すことができる。コリンチャンスは、チェルシーがカウンターアタックでこの形になりそうな時には、意図的なファウルでプレーを止めることも何度かあった。ここからも、コリンチャンスがいかに恐れていたかがわかるだろう。

他の点では、チェルシーがボール保持を長くする時には、ダニーロが少し中に絞り、エメルソンが左を守って、コリンチャンスは、4-1-4-1のような形で対応した。これは、マタにDFとMFの間のラインで仕事をさせないためであった。

コリンチャンスは、エメルソンのカウンターアタック時の攻撃の選択肢は乏しいなど、決して良いアタッキングサッカーが出来ていたわけではない。しかし、彼らはチェルシーのパスを分断し、チェルシーがフェルナンド・トーレスへの単なる長いボールを放り込むしかできなかったことは驚きであった。ランパードは通常、そういった長いパスが出来る選手ではあり、何本かは正確であり、トーレスのボールコントロールも良かったが、チェルシーが3人のアタッキングMFを飛ばして攻撃することが信じられないことであり、コリンチャンス側はそれほどにもアタッキングMFの3人を警戒していたのだろう。

Second half(後半)

ゲームが進むにつれ、コリンチャンスはチェルシーを苛立たせることに成功していたように見えた。コリンチャンスの攻撃の質はあまり改善されなかったが、ピッチの良いエリアでのポゼッションは多くなり、結局ワンチャンスのゴールへと結びついた。

後半、最大の疑問は、なぜベニテス監督は送りだしたスターティングイレブンにこれ程長くこだわったのかということであった。モーゼスが先発した理屈はわかるが、チェルシーが彼のところまでボールを供給できなければ(モーゼスは、ピッチ中央来てもあまり役に立たず、サイドのポイントが無くなってしまう)、この戦略自体、作用しなくなってしまう。ピッチでのゲームのテンポを上げ、チェルシーのカウンターアタックと流動性にスピードを与えれる、オスカーが1-0のスコアになった後でピッチに出たことが驚きであった。

 ベニテスの他2人の選手交代も非常に遅かった。82分に右サイドから度々ピンチがあったイバノビッチに替えてセサール・アスピリクエタを入れ、86分にマルコ・マリンをアザールに替えて投入した。交代は、どちらもリスクを冒したものではないし、非常に遅れたものであった。ここからも、ベニテスの決断は理解しがたいものであった。

結論

ティト監督の采配は、消極的で受け身だったかもしれないが、ゲームへのアプローチは南米チャンピオンにとって好ましかったことは疑いようがない。彼らは運にも頼らなければならなかったし、いくつかのチェルシーの決定機のミスにも助けられた。しかし、ゲームのテンポはコリンチャンスが望んだものであったし、ゲームの支配力があったからこそチェルシーの攻撃を防ぐことができた。

コリンチャンスは、ボール支配において十分にプレーしていたのか?おそらく、否であろう。この戦い方は、より強い相手に対してどうやって攻撃するのかという例示にはならないが、賢明なポジショニングとプレスを通じたディフェンシブフットボールの良い見本にはなるだろう。(了)

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Tags: データ  レポート  
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Posted: 2017年02月16日 23:11

Reference: Corinthians 1-0 Chelsea: Corinthians disrupt Chelsea’s passing and pinch a scrappy goal

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