Guided Discovery ガイディッド・ディスカバリー

ジョゼ・モウリーニョが採用しているコーチング法の一つに「Guided Discovery(直訳:導かれた発見)」と呼ばれるものがある。この理論を説明したニール・ハル(NSCAA全米サッカーコーチ協会 テクニカルコーディネーター)の文章を紹介しよう。

 

コーチが指導の道を歩みコーチング力を磨いていく中で、きっと様々なコーチング方法やスタイルと出会い、選別し取り入れていく。ホール・パート・ホールメソッドやリハース・リスタート・リプレーメソッドなどたくさん上げることができるだろう。このような方法やスタイルをコーチは1人1人吸収しブレンドしながらそのコーチ独自の哲学を築いていくものである。

Guided Discovery=ガイディッド・ディスカバリー ここで私が紹介したい方法はそう呼ばれている。

ルイス・ローレンコ著「ジョゼ・モウリーニョ」の中でモウリーニョ自身が彼のコーチングバイブルとガイディッド・ディスカバリーについて深く語っている。モウリーニョは尊敬と、憧れ、同時に嫌悪を世界中から集める存在だが、現在のサッカー界において、彼が最も成功を収めた指導者の1人であることには議論の余地が無いだろう。

ローレンコの本ではモウリーニョの4シーズンに渉るFCポルト時代とその後のチェルシーへの旅立ちを追っている。

ガイディッド・ディスカバリーという理論では選手への「問いかけ」を核としている。そしてその問い自身が選手達の出す答え、つまりは判断の枠組み担っているのである。

問いかけは言葉によるものである必要はなく、練習メニューのオーガナイズやフォーメーションという形をとることもある。年齢や能力そして経験といった要素がコーチのアプローチにバリエーションを生む。

この問いかけの実践技術はコーチが選手をしっかりと理解していること、そしてどのような伝え方(聴覚的、視覚的、さらには精神的なアプローチをするなど)がその個人に適しているかを把握していることが前提となる。

 

そしてコーチという立場から、導きたい反応を選手やチームから引き出すような環境を作る必要がある。

もし、ある選手がミスをした場合、単なるミスと受け流してしまってはいけない。自身の意見を改善のためのツールとして伝える必要がある。さらに「なぜ、その判断をしたんだろう?」「他の選択肢は無かったのかな」「そこ以外にはどこが視野に入っている?」「どの選手がサポートに回ってくれている?」「他の選択肢をつくるにはどうできる?」そして「ちょっとやってみる?」といった「導くための質問」をすることなのである。
 

選手の成長とともに、試合もトレーニングのバリエーションとなる。(究極的には試合をプレーすることよりも選手を成長させられる指導者なんているのだろうか?)練習の中でドリルメニューやSSG(スモールサイドゲーム=練習における少人数制の試合)を効果的に組み合わせれば練習そのものが「問いかけ」となり、逆に普遍的な形をとることで、選手達は常に様々な角度から同様の問いにアプローチをすることが可能となる。



例えば3人目の動きで縦へ走りこむプレーの確認をトレーニング目的として練習メニューを作るとすると、そのトレーニングドリルや、SSGを通じてどのような問いかけをするかを念頭に置く必要がある。

練習中、エリアをオーガナイズし、その中で要求を繰り返しながら選手を導く。どのような3人目の動きとそれを実現するための連動が求められているのかを説明する。

この後、コーチはトレーニングエリアから下がり、観察者となる。そしていくつかのキーポイントやヒントを与え、またフリーズし選手と話し合いながらチームが同じ波長に乗るよう導いていく。

 

-決定的なパスの前に、どんなコンビネーションプレーで幅やギャップ(すき間)を作り出すことが出来るだろうか?-

 

選手は話し合い、意見を出し合う。そしてその後「実践」となる。もちろんそのときに出た答えの他にも選択肢はあるだろう。しかしその答えさえうまくいけば、その練習は成功したといえる。一つしか答えがないわけではなく、結果さえ出ればその選択肢は正しいものと言えるのだ。

 

この方法で指導をすると、練習や試合の中で、選手はコーチの助言を支えに解決方法を探し出し、自分自身で答えを見つけ出そうとする・・・つまり考える力が養われるのである。

(了)

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Tags: 戦術的ピリオダイゼーション理論  コーチング哲学  モウリーニョ  
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Posted: 2017年02月17日 13:49

Reference: Guided Discovery

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