女子ジュニアサッカー選手の食事における問題点

栄養管理は、アスリートのトレーニングにおいて重要な構成要素の1つである。ただ残念なことに、これが選手のトレーニングの一環であるということが、度々見過ごされてしまうことがある。

これまで、男性のユースプレーヤーとプロ選手の栄養管理に関しては十分に研究がされてきた。しかしながら、女性アスリートに焦点を当てた研究はほとんどされていない。女性アスリートは、男性と比較すると栄養管理においても独特の側面がある。骨格の発達のためにカルシウムとビタミンDの摂取の必要性がある一方で、鉄分不足の危険性の増加、体重が増えてしまわないように気遣う社会的なプレッシャーなどは、彼女達の食事の選択に影響を与えてしまう。最近の研究結果をまとめた「International Journal of Sports Nutrition and Excercise Metabolism」 では、男性のプレーヤと同じように、女性プレーヤーの食事で栄養素が欠乏していることは、ピッチでのパフォーマンスに健康にも影響を与えていることがわかった。

ある研究が、カナダのブリティッシュコロンビアにあるVictoria大学の教授によって行われた。それは、カナダのトップレベルにあるジュニア女子プレイヤーに焦点をあてたものであり、対象選手の年齢は14歳~17歳、週平均で12時間の練習をしている選手たちである。

研究員達は、4日間(2日/練習日、1日/試合日、1日/休み)の食事を記録することを依頼した。全ての選手とその両親は事前にセミナーに参加して、どれ位の量と何を食べたのかを正確に記録できるように学んだ。そして、記録した食事に関しては、研究員たちが、ビタミン、ミネラルとトータル摂取カロリーを測り、その内容が分析された。研究員達はまた、集計日の選手たちの活動消費カロリーも計測した。

結果は、とても興味深いものであった。食べ物や飲み物からの摂取カロリーは、1日2000カロリーを少し超える程度であった。これは、消費カロリーの平均1日2546カロリーよりも少ない。これは、選手がトレーニングや他の日々の活動の必要なカロリーを十分に摂取していないことになり、選手たちは、1日500カロリー以上不足している計算になる。研究対象の選手たちは、決してウェイトオーバーでも、痩せすぎているわけでもない。それため、この研究期間で記録されたカロリー不足は、おそらく別の日に摂取することで体重維持をしているのだろう。しかしながら、長い視点でみれば、日々のカロリー不足(特に痩せた人にとって)を、是正しなければならないし、結果的にはパフォーマンスに影響を与える。

細かく見ると、50%以上の選手が、女性アスリートに推奨されている糖質(炭水化物)の量に満たなかった。繊維質に関しては、推奨されている量の1/4程度であった。幸いなことに、脂質とたんぱく質の摂取量の推奨された量の範囲内であったが、何人かのプレーヤーはたんぱく質の摂取量が少なく、脂質の摂取量が多すぎた。この結果から、カロリー不足の原因は、糖質(炭水化物)の十分な摂取が出来ていない結果だと言える。

ビタミンとミネラルに関しては、誰1人としてビタミンDとビタミンEの摂取量が推奨量に達していなかった。葉酸とカルシウムに関しても、推奨される量の1/3と顕著に低い数字であった。亜鉛とマグネシウム、ビタミンAが不足している選手も何人か見られたが、一方で、ビタミンBと鉄分、銅は大半の選手が推奨量を超えていた。

この研究の著者が結論付けたこととしては、女性プレーヤーの食事は、適切な成長を促すことと試合のパフォーマンスを引き上げるのに、必要な栄養が不足しているということであった。パフォーマンスという面では、摂取カロリーが消費カロリーに達していないということと、炭水化物の不足が筋肉のグリコーゲンのレベルを引き下げてしまっている可能性があることだろう。グリコーゲンの不足は、ダイレクトにパフォーマンスレベルに影響を与える。これは、特に試合の後半やトレーニングの終盤にその影響が顕著に現われる。

懸念するもう1つの点は、カルシウムとビタミンDの不足は骨の成長に影響を与える点である。これらの2つの栄養素は、適切な骨の成長に不可欠なものである。これらの不十分な摂取は、骨の強度が弱くなり疲労骨折を誘発しやすくなる。また、ビタミンEは、抗酸化作用に優れ、細胞の修復に不可欠なものである。

では、この研究で出た問題点を正すにはどうすれば良いのか?これらの問題に対処する最適な方法は、十分な炭水化物、ビタミン、ミネラルを摂取できる最適な食事に焦点をあてることだろう。脂肪の少ない肉類、新鮮な果物と野菜と同様に、全流穀物のパンやパスタを取ることが良い方法である。マルチビタミンのサプリメントも日々のビタミンやミネラルの摂取には役立つだろう。しかし、適切な食事からでも、これらの栄養素は摂取が可能である。

研究員たちは、アスリートは健全な食生活の重要性、特にサッカーの競技特性に見合った食事をしっかりと教えられるべきだと示している。コーチたちは、どんなものをどのタイミングで食べたらよいか選手たちが理解しているかを、たびたび確認するとよいだろう。しかし、教えることが全てになってはならない。なぜなら、食事とパフォーマンスは密接に関連しており、選手たちは自発的に日々の食生活を見る必要があるからである。選手たちは、どのタイプの食事をとったら、どうピッチのパフォーマンスに影響があるかを比較する必要がある。食事がパフォーマンスへ影響があることを理解することで、選手は賢く、健康的な栄養摂取の選択をするようになるだろう。そして、アスリートとしてパフォーマンスを引き上げる食習慣の取り込みは、また健康的な生活を長く送るという点でもより良い食習慣となるだろう。(了)

 

Reference

Gibson JC, Stuart-Hill L, Martin S, Gaul C (2011) Nutritional status of junior elite Canadian female soccer athletes. International Journal of Sports Nutrition and Exercise Metabolism. 21: 507-514.

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Tags: データ  コーチング用ヒント  ユース・ジュニアユース対象  実践的アドバイス  
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Posted: 2012年11月05日 22:41

Reference: The Diets of Female Players Are Also Left Wanting

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