モウリーニョのウィークリーサイクル (モルフォサイクル) 後編

戦術的ピリオダイゼーション理論で有名なレアル・マドリード監督ジョゼ・モウリーニョ。 彼の作った、試合をターゲットに置いたトレーニングサイクル哲学を紹介します!

 

前編からの続きです。

木曜日:チームコンセプトの大きな要素とチームの大規模な連動

木曜日のトレーニングは広めのスペースで行われ、「特定の持久力」を鍛える。これは一般的な持久力とはまったく違う。私はスタミナのみを鍛えるようなことはしない。私にとっての持久力とは、我々のプレーモデルに則って、選手1人1人とチーム全体がチームコンセプトを実現できるかということである。そのためには、広く実際のゲームに近いスペースでトレーニングを行うのみである。

このトレーニングを通じて戦術的な流れや動き、特定の試合状況を観察・抽出し、われわれのチームコンセプトに調整を加える。なお、ゲームの流れや傾向をより深く観察するために加え、ピッチ内で一定の状況の発生頻度を高める目的からピッチ全面をつかうことはない。

 

オリベイラにとってこの週間サイクルにおける木曜日のトレーニングはチームコンセプト(最大原則)自体とそれを支えるサブコンセプトにフォーカスしたものとなる。そして「チーム全体か、ほぼ全員といった単位でいくつかの状況の具現化、ピッチ上での実践を行う。」

チームの連動にフォーカスする、すなわちチームコンセプトを実践するには、チーム全体としてその状況を表現しなければならない。これは例えば11vs11の環境で練習をしないといけないということではなく、よりチーム(集団的組織)としてトレーニングを行うということだ。ポジション間での連動に注視し、1つのプレーの継続時間の長いトレーニングを広いスペースで行う。

(なお、戦術的理由からチームコンセプトを狭いエリアで行うこともある。)

 

 

金曜日:小規模部分のプレーコンセプト

モウリーニョにとって金曜日はチームコンセプトの中の「ハングリーさ」に働きかけるタイミングであり、それに関連した戦術的な複雑さの低いサブコンセプトのためにある。きっと「速いスピード(筋収縮)の中での課題達成の日」と呼んでもかまわないだろう。

なお我々は「スピード」という言葉を一般的な意味、特に身体的な見地からのみの意味では用いない。我々にとっては選手が情報を分析し実行に移す速度という意味を持つ。実行に移すスピードとは状況を理解した中での速さであり、それは例えばあるコンセプトによって要求されるスピードである。

トレーニングではこのような状況が多く発生する試合の局面の中で、身体的そしてチームプレーの面での働きかけがされるようにする。

 

オリベイラは、金曜日はユニット(小規模グループ)単位での練習となるようなサブコンセプトのトレーニング日としている。ただテーマとしてはっきりと、「選手たちが速いスピードで状況判断をする練習をする。速く決断し実行する。」としている。そのためには相手選手数を実際の試合状況より減らし、例えば、4/5人対0人や 10人対0人、もしくは8人対4人や7人対3人とする。また逆に8人対8人や10人対10人を狭いエリアで行うことで、スペースがなくなり必然的に速くプレーさせることもある。 

 

 

土曜日:試合のために

試合日前日、モリーニョは試合への導入を行う。翌日のゲームに対してのあらゆる有害だと思われるものごとを取り除く。トレーニングではメニューの複雑性を低くし、スペースも狭くし、休憩の時間も多く取る。練習中、戦略的な分野のサブコンセプトとサブサブコンセプトに焦点があてられる。戦略を対人プレーがないほど、どちらかというと理論的に取り組む。「回復」をベースにしながら試合の準備が行われる。この日にチームが完成する。

 

「回復」という同様の言葉を使っているが、火曜日の「回復」は前の試合からのものであった、しかし土曜日の「回復」は翌日の試合のためである。

試合に近づくほどにトレーニングの密度、とくに選手への集中力の要求量を減らす必要がある。中枢神経系の疲れは大きな影響を与えかねないのでこの段階ではあまり多くを要求するトレーニングをするべきではない。

 

オリベイラは試合前日のトレーニング体系を説明するにあたり、「その週に行った練習の分野を再確認するが、あまり多くの力はいれない。」そして「重要だと思える何点かのサブコンセプトをカバーすることは出来るが、ハングリーさの部分には触れない。というのも次の日にゲームがある以上、我々は多くの集中力をこの日に費やされたくないのである。土曜日の練習というのは、いうなればチームを活性化する直前段階なのである。」

このような理解をベースに、緊張感(本気度)は低く、スピードは速く、しかしプレーに関わる人数が少なく、1プレーを短時間のみ行うことで、回復を目指す。

いくつかの局面を作り、チームの自然な習慣的機能(オートマチズム)を呼び起こす環境を与える。選手に多大な集中力を要求せずチームとしての連動パターンを「再実現」させるようなイメージだ。

また、場合によってはいくつか特に重要だと思うポイントを復習することもある。特にチームが良くできている点や、逆にハイレベルなパフォーマンスが出来ていない点などである。さらに対戦相手のことで週の間に触れたことに関してもう再確認することもある。しかし絶対に多くを要求することはない。(了)

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Tags: 戦術的ピリオダイゼーション理論  モウリーニョ  コーチング哲学  
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Posted: 2012年10月16日 13:25

Reference: Weekly Pattern (Morphocycle)

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