2012/10/7 クラシコ:バルセロナ 2-2 レアル・マドリッド

この試合、両チームはエンターテイメント性に富んだゲームでの、1ポイントずつの引き分けに満足しているようだった。

 

ビラノバ(バルセロナ監督)は、ジェラール・ピケとカルロス・プジョルの欠場の代役に、新加入のアレックス・ソングではなく驚くべきことにアドリアーノをセンターバックに置いた。そしてイニエスタがアレックス・サンチェスがいたサイドの位置に戻ってきた。

ジョゼ・モウリーニョ(レアル監督)は、新加入のルカ・モドリッチやマイケル・エッシェンを使わず、より馴染みのあるチームを送り出した。それは、基本的には昨シーズンのレアル・マドリーと同じであり、メスト・エジルをNo.10の役割とする形であった。

フォーメーション

ここ最近のクラシコよりも、戦術的な駆け引きの面ではシンプルなゲームであった。グアルディオラ体制のもとでは、クラシコで度々見られた3バックシステムも、今回のクラシコにはまったく見られなかった。ディフェンス陣のケガの問題があるにも関わらず、今回は明らかな4バックシステムであり、ブスケッツもセンターバックの間に落ちてくるのではなく、基本的には中盤の位置をキープしていた。

しかしながら、バルサの4-3-3の左には変更点も見えた。火曜日のベンフィカ戦では、左サイドはプレーエリアであるように見えた。しかし、サンチェスとイニエスタでは、プレースタイルが異なる。そのためイニエスタは、少し変わった役割を担っていた。-それは、低い位置の真ん中寄りの左ウイング、もしくは高い位置の外に開いたセントラルMFといったものだろう。イニエスタは、レアルのアルベロアを右サイドバックの定位置から引き剥がすことに集中していたように感じた。セスク・ファブレガスは、自由に様々なアタッキングMFの役割でプレーして、ラインの背後やDFの隙間のスペースを絶えず見つけようとしていた。

レアルは、シンプルな4-2-3-1であったが、モウリーニョ体制のバルサ戦ではお馴染みの、ボールのない時に、4-4-1-1、または4-5-1のようにも見えるシステムであった。この試合でも、出来るだけその形を維持しようと意識していた。ディ・マリアが低い位置まで下がる代わりに、ロナウドとエジルが高い位置に留まっていた。アロンソは、いつもより前方に位置してシャビ・エルナンデスにプレスをかけようといていたが、シャビはブスケッツの近くで深いポジションを維持していたため、アロンソは徐々にその対応に行き詰ってしまった。

バルセロナの試合運び

いつも、バルサは中盤に人数をかけて試合を支配して、チームとしてファイナルサードの位置で「くずし」を狙うが、このゲームでは中盤の争いはそれほど多くはなかった。序盤、バルセロナの攻撃の脅威はあまりなかった。絶対的なボール保持にもかかわらず、チームは突破口を見つけ出すことができなかった。一つの要因は、フォワードの動き出しの少なさだろう。リオネル・メッシは、マーカーのセルヒオ・ラモスを引き連れてボールをもらいに近寄ってくるが、ペドロだけがそのウラの空いたスペースに走りこむ唯一の選手で、ファブレガスは明らかに低いポジションからの動き出しで、イニエスタはゴール方向への動きよりも、ピッチの中央へ動いていた。バルセロナは、レアルのディフェンスラインの前方でプレーしていたため、レアルはラインを高く、コンパクトに保つことが出来た。

イニエスタの少し変わったポジショニングが、バルセロナの連動性のキーポイントであった。マーカーのアルベロアは、できるだけイニエスタを近くで見ようとして、右サイドバックの彼が度々真ん中の中盤のゾーンまで引っ張られていた。これで、バルセロナの左サイドバック、ジョルディ・アルバの前方に走りこむスペースができていた。ベンフィカ戦では、アルバは、バルサの右サイドよりも積極的に攻撃参加していた。もし、ファブレガスがもっと左サイドにポジションをとれば、アルベロアのポジショニングをもっと混乱させることができたかもしれないが、ファブレガスは中央にいることを選択していた。

ペドロは右サイドの高い位置で、ワイドに開き、ウイングの役割でプレーしていた。序盤、メッシは静かなスタートであったこともあり、イニエスタとのコンビを生かしながら、ペドロが攻撃の脅威になっていたように感じた。イニエスタがマーカーを引き連れて、ポジションを中寄りに移すことで、レアルの左サイドバックのマルセロも中にポジションを絞り、結果、外のペドロにスペースが生まれていた。

レアル・マドリッドの試合運び

前半のレアルは、ゲームプランとしてバルセロナよりももっと効率的に試合運びをしていた。1つめは、ボールの無いときのフォーメーションであり、積極的に高い位置どりをキープしていた。ゲームがすすむにつれ、まとまりを欠いてきたが、序盤の展開では、ボールを奪ってからの早い攻めがあった。アロンソは、外のポジションから斜め方向に大きな展開のパスをいくつか供給し、また、エジルは、非常に重要な役割をはたしていた。前半のオンザボールでの貢献度は低かったものの、サイドへの動き出しがバルセロナのサイドバックに負担をかけて、外からの崩し、中へのクロスへとつながっていた。

エジルの右サイドのポジショニングが、ロナウドの一点目の一連の動きで、大きな役割を果たしていた。レアルがバルサの右サイドのアウベスのエリアから決定的シーンを作るのは3度目であった。1度目は、マルセロが飛び出したが、ボールがこなかった、そして2度目は、ベンゼマがファーポストでクロスにあわせようとしたが上手くヒットしなった。バルセロナは、前の試合に出ていたモントーヤからアウベスに代わり、そのエリアでの守備に苦しんでいた。

ベンゼマのフィニッシュは物足りなかったが、ポストプレーは際立っており、チームメイトが前線に上がることをうまく促していた。また一方で、レアルは、直線的にプレーすることも多く、ファイナルサードに走りこむ人数を増やして、バルセロナゴールを脅かしていた。特に、セットプレーは、バルサの脅威になっていたことは明らかで、平均身長だけでは普段のレアルよりも低い選手が多いものの、セルヒオ・ラモスがコーナーから決定的なシーンを創出していた。

後半

後半には多少、戦術的な駆け引きが増した。メッシは、ボールに絡む回数が増え、ファブレガスは左サイドにポジションをとり、レアルのアルベロアの背後のスペースを利用しようとしていた。ビラノバの最初の交代カードは、ファブレガスを下げてサンチェスを投入した。サンチェスは、火曜のベンフィカ戦では左サイドから中へ切れ込み再三チャンスを作っていた。

エジルは、後半に存在感を増した。サイドに位置取り、カウンターアタックのチャンスを作り出しており、またロナウドの2点目もアシストした。これまでのカンプ・ノウでのエジルの貢献度には疑問符がついていたが、ここ2戦は、ロナウドのゴールをアシストするなど、全体的に良い貢献をしている。

バルセロナは、最後の20分ポゼッションを高めていたが、レアルの良いディフェンスもありそれほどチャンスは創出できなかった。一番のチャンスは、ペドロが、右サイドからディフェンスの背後に抜け出し、モントーヤのクロスバーに当たったシュートシーンだっただろう。

レアルの選手交代は、同じポジションの似たタイプの選手同士の交代であった。イグアインとベンゼマが代わり、カカとエジルが代わった。ビラノバは3人目の交代を使わなかったが、モウリーニョは、88分にディ・マリアをエッシェンと交代させている。これで、カカを右サイドにおいて4-5-1システムのようにした。モウリーニョは、1ポイント獲得の結果に満足しているようだった。

結論

全体的には特別に戦術的な試合とは言えなかった。両チームとも、いつもどおりのシステムでゲームに入った、バルセロナの左サイドのアタッカーには小さな変更があったものの、グアルディオラ体制のときも、ビッグゲームではイニエスタを左サイドのFWとして使うことは度々あった。戦術的な変更点や交代カードの使いかたなどからも、両チームは相手を考えてプレーするよりも、自分達のサッカーをプレーしていた。

試合は、非常にレベルの高いものであったが、5本の枠内シュートで4つのゴールが決まった。クラシコでは、他の優秀なチームメイトや戦術的な駆け引きがあるにもかかわらず、メッシ対C・ロナウドの構図にもなる。クラシコに対して、2人のゴールスコアラーの競演に主眼を置くなら、この試合はまさにそうだったのかもしれない。(了)

 

 

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Tags: レポート  データ  
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Posted: 2017年02月16日 23:11

Reference: Barcelona 2-2 Real Madrid: two goals each for Ronaldo and Messi

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