モウリーニョのウィークリーサイクル (モルフォサイクル) 前編 

戦術的ピリオダイゼーション理論で有名なレアル・マドリード監督ジョゼ・モウリーニョ。 彼の作った、試合をターゲットに置いたトレーニングサイクル哲学を紹介します!

 

ギリョルメ・オリベイラ(訳注:ポルト大学のヴィトール・フラーデ教授とともに戦術的ピリオダイゼーション理論の研究・提唱を行った。現在もFCポルト・アカデミーに職を置いている。)によると、直前の試合を監督が分析し、そこから1週間の課題や目標を設定し到達する上でウィークリーサイクル(モルフォサイクル)と呼ばれる各曜日の役割や違いの認識・形式化こそが彼の練習プラン作りのための基礎となる、という。
 
「このウィークリーサイクルでは前の試合の反省と次の試合の情報を包括し、その次戦準備を目的としている。」
 

月曜日:オフ

(モウリーニョ:)もし1週間に1試合だけであれば、私は試合日翌日をオフにしている。身体機能的・生理学的な見地からは最適なオフのタイミングではないことはわかっている、それよりも精神的・気持ち的な問題からこのようにしているのだ。ちなみに私にとっても同様で、基本的に試合日翌日には私はなかなか働く気になれない。というのも試合の日の夜はなかなか寝付けないし、その翌日も起きるのが辛い。そうなると翌日は集中しづらく練習プランも作りにくいし、トレーニングを指揮するのも簡単ではない。もしトレーニングを行っても、トレーニング自体の中に身をおかず、気がついたら練習を眺めながらピッチサイドをただ歩き回っていたりする。

 

選手も似たような状態である。体力的回復を促す面からみると試合日翌日はトレーニングをしたほうが良いはずである。でも選手は練習したがらないし、気持ちも入らない。肉体的には効果があるはずでも精神的には効果は低いのだ。そしてこの状況は大局的な見地から対応する必要がある。(外部に現れる選手の姿勢や言動というのは第1に内なる精神の状態を発信しており、その次に身体的状況を表している。そして精神面での疲労や磨耗こそがその選手のパフォーマンスの低下を目に見えるほど表出させる。)

 

 

火曜日:アクティブ・リカバリー

「回復」というテーマとともにギリョルメ・オリベイラは火曜日にも「2日前の試合で表出していた現象(良いもの悪いものを含め)、そして次の試合に何が起こるかを予想した上でサブコンセプトをいくつか練習に織り込む必要がある。」と言っている。

例を挙げてみると、:前節では攻撃の組み立て、特に短い距離でのビルドアップがうまくいっていなかったとしよう。ミッドフィルダー陣のポジショニングの悪さと、バックの選手達のパスの質とタイミングの悪さによって、中盤エリアにボールが上手く入らなかったからである。ここで、指導スタッフ陣は「パストレーニング」をすることにした。(次の試合でしっかりと実現して欲しいオーガナイズで)相手役の選手をつけずに前の試合で悪かった点を修正する

また、このエクササイズは頻繁にストップをかけるなどで1度のプレー時間を減らし、選手の回復を促す。

 

オリベイラによるとコーチ達はこういった方法で、選手がプレーに関わる際のスピードや本気さ、時間を減らしながらも、チームとしてのある典型的なプレーの形を伝えているのだ。このためチームのプレーモデルにおけるサブコンセプトを「回復」を目標としたトレーニング中にも熟成させることが出来る。

 

 

水曜日:中規模部分のプレーモデル

私の経験から言って、直前の試合から3日間が経った時点ではまだ選手達は完全に回復はしていない、特に体力面よりも精神的な部分で。精神的回復は肉体面での回復に比べてより長い時間を要するものなのである。

このためトレーニングでは指導者は選手たちが体力的、そして精神的にまだ完全には回復して切っていない状況にあるかもしれないということを念頭に置いている。この各選手間での回復期間の違いによるチームコンディションの不明瞭な状況を踏まえ、水曜日のトレーニングがモルフォサイクルの中で最も1つ1つのプレー時間の短いメニューとなる。例えば多くの回復インターバルを取り断片的なアプローチが多くなる。

モウリーニョはプレーモデルのより小さな部分に働きかける、サブコンセプトやサブサブコンセプトといった複雑性の低い、それでもメインのプレーモデルへのはっきりとした意図を示しながらそれを支え動かす部分を創りあげるのである。

 

私にとって、サッカーにおける肉体的強さとは何か?「それは走り出し、とまることができ、方向転換ができ、ヘディングのためにジャンプできる、そんな能力のことだ」。要は試合の中で選手たちが行う1つ1つのプレーや動きなのである。そのため我々はチームのプレーモデルの具体性に沿ってその分野に働きかける必要がある。

もしあるトレーニングで「強さと技術」が前提の日に、戦術的なプレーや現象を多く創出したいのであれば、我々コーチ陣はその状況が起こりやすい試合の局面を探す。そしてその中で、例えば10-15回のターンをしているか、などの現象の数値化を行う。つまり我々の狙いとしては、設定した練習オーガナイズにより、特定の運動が自然に多く現れることなのである。

 

後編につづく

 

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Tags: 戦術的ピリオダイゼーション理論  モウリーニョ  コーチング哲学  
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Posted: 2012年10月16日 13:20

Reference: Weekly Pattern (Morphocycle)

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