食事生活・栄養バランスチェック(スペイン/ユース年代)

普段の食生活がピッチ上のプレーパフォーマンスを左右することは明らかなこと、脂質が多く、炭水化物の不足した食事をしていると、「トップレベルでプレーするためのパワー」は身につかないし、集中力も欠けてくる。このことはもちろん何年も前から各種研究機関とグランドレベルの両方で証明されてきている。

 

しかし選手達はそれでもまだ正しい食生活を送っているとはいえないようだ。最近スペインのマドリード、CEUサンパブロ大学にてユース選手達の食生活分析が行われた。その結果選手たちがとる炭水化物・脂質そしてたんぱく質の量はこれまでのリサーチと同様、適切ではないことが示されている。

 

今回の分析リサーチの対象となったのは、16-21歳のスペイン1部リーグクラブ所属のサッカー選手(男子)たちで、連続6日(試合日を除いた「まる一週間」)にわたる自身の食事状況を記録するように指示された。

この食事状況の記録付けは他のリサーチに比べても用紙の質問事項が多岐に及び、また緻密な情報を要求されるのが特徴であった。また選手達はこの食事状況記録に加えて、正確な測り方を教えられた上で食べ物の重量チェックもするよう指示されている。そしてもちろん今回の分析のために食生活を変えたりはせず、普段どおりの食生活をすることと注意された。

 

測定週が終わり記録が回収され、大学の研究班による分析が行われた。ここで各選手の総カロリー摂取量、そしてそのカロリーの内訳における炭水化物・たんぱく質・脂質の割合などが明らかにされた。

 

ちなみに選手グループは全員選手としてのコンディションが整っており、平均の体脂肪率は10.5%、ゴールキーパーが少し高く11.8%、サイドバックは低く9.9%でといったもので、インターバル持久力テストでもキーパーの選手こそ多少下がるものの全選手が高い成績を残している。

まず分析結果として示されたのは、グループ平均の一日における総摂取カロリーは3000kcal(体重1キロあたり38.5kcal)、ポジションによる特性は(ゴールキーパーが少し低いものの)特になしだが、理想的な摂取カロリー量(一日3500Kcal以上)の値から比べるとこの数値は低いものといえるだろう。

そして栄養素分析では、炭水化物の摂取量が理想値よりも少なく、脂質は逆に適切な量よりも多いことがわかった。サッカー選手としては全摂取カロリーの55-65%を炭水化物から、25-30%以下を脂質から摂ることが適切とされている。このグループでは45%が炭水化物からで、脂質は37%となっていた。またたんぱく質の摂取量も適切な値よりも多く、10-15%のところが17%となっている。3大栄養素バランスが理想的ではないことがわかる。


 

ところで選手達の摂取カロリーの55%はシリアル、ジャガイモ、肉類、牛乳や乳製品といった食生活の中心となるものからであった。調理方法は別としてこのような食品を選択することはとても重要といえる。一方、25%のカロリーが油類、スイーツ、インスタント食品から摂られており、このような食品には脂質や単糖系が多く含まれる傾向があり、25%という値は高すぎるといえるだろう。

そして何よりも問題なのは、野菜からのカロリー摂取が1-2%しかないことである。野菜類の不足は炭水化物摂取量を押し上げないばかりでなく、もちろんビタミンやミネラルの不足につながる。



最終的なこの分析リサーチの結論としては総カロリー摂取量、それに3大栄養素のバランスの両方の側面から見ても、食生活は適切でなく、選手達がそれを改善する必要がある、ということだった。レポート作成者によると食の教育こそがその改善のキーだろうということである。選手たちが食事内容とプレーパフォーマンスの関係を十分に理解し、炭水化物が多く、脂質の少ない食事こそ最高のプレーを生み出す支えとなることを認識しなければならないということだ。

選手達はさらに食品やメニュー選択のための基礎を知る必要がある。こういったことは様々な機会で「教えられている」はずだが、詳細には触れられていないことも多い。自分がどのような食生活を送っているかに気がついている選手は実は少なく、食品選択の基本がしっかりわかっていない選手も多い。

具体的には今回のスペインの選手達の記録からは、菓子やスイーツ、インスタント食品と揚げ物の量を減らす必要があることがわかる。そして(できれば新鮮な)野菜をもっと多く摂り、食事の脂質量を減らしながら炭水化物やビタミン、それにミネラルの摂取を増やすべきである。

 

分析グループは食品やメニューの選択に注意をすることが特に若い選手にとって重要だと強調している。そして我々コーチとしては若い選手たちの、特に中学・高校年代の食生活改善のために大きな影響を与えられるはずである。選手たちにどういった食べものを選ぶべきで、そしてどのようなものを避けるべきかを理解させられれば、3大主要栄養素のバランスや総カロリー量の調整など食生活の理想化を図ることが出来るはずである。このことにより選手のプレーパフォーマンスもよくなる。そして若い時期から習慣づいた正しい食生活は、将来の健康的なライフスタイル作りの礎ともなることだろう。食の教育は短期・長期の両方でとても重要で効果的なのである。(了)

 

Reference: 
Iglesias-Gutierrez E, Garcia A, Garcia-Zapico P, Perez-Landaluce J, Patterson A, Garcia-Roves M (2012) Is there a relationship between the playing position of soccer players and their food and macronutrient intake? Applied Physiology, Nutrition and Metabolism, 37: 225-232.

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Tags: リサーチ  
By:
Posted: 2012年07月29日 12:12

Reference: Nutrient Intake of Spanish Youth Players

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