ユーロ2012 決勝 スペインvsイタリア 直前プレビュー

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開幕から30試合を終えた今振り返ってみると、ユーロ2012大会でもっとも戦術的に興味を掻き立てた試合といえば、1-1という結果に終わったグループCの第一試合だろう。3バックと0フォワードのフォーメーションをそれぞれ採用したチームの激突、中々普段みることができない組み合わせだったのである。

 

残念なことに今夜このマッチアップを見る可能性は少ないだろう。イタリアは3バックから4バック(中盤はダイアモンド)に移行してしまっている。とはいってもこの大会においてダイアモンドの中盤も珍しく、また違った形での興味深い戦術戦となるはずだ。

 

スペイン、イタリア両チームの監督はともに賢い指導者だが、戦術家という一面は普段あまり出さないので、特にこの2人が戦術戦をこの決勝戦で繰り広げるというのもきわめて稀なことといえる。

 

スペイン監督、ビセンテ・デル・ボスケは「組織運営者」であり、「対話専門家」でありそして何よりチームの「父親」的存在だ。もちろんワールドカップ優勝監督でもある彼の才能は低く評価されるべきではないが、どちらかと言うと彼はチームの雰囲気作りに気を使うことでスペインの一体感のあるサッカーを支えているといえる。デル・ボスケ監督は、近年のスペイン代表の躍進・成功について「様々な要因があるだろう、われわれのサッカーのシステム、アカデミー組織、そしてよりよいコーチたちの存在といっている」

その言動はとにかくいつも謙虚である。

「選手がうまくプレーできているときは、監督も勝手に評価を上げてもらえる。」これが彼の普段の態度であり、もちろん相手チームへの駆け引きのためでもあるが、きっと本音の部分もあるのだろう。

 

イタリアのプランデッリ監督もタイプとしては似ていないことも無い。彼は相手に応じてその場その場で急に戦い方を変えたりすることは出来るだけしない。すでにこの大会中に3-5-2から4バック+中盤ダイアモンドに大きな変更を加えたのは確かだが、アイルランド戦を控えて決断したこのフォーメーションチェンジは相手の出方によるものではない。

プランデッリは、「ここ何試合かでチームのバランスが戻ってきた。大会開幕時のチームには満足いく状態ではなかったポジションバランスや体力の充実度がよい状況にし上がってきたのでチームに自信や確信が植え付いている。」といっている。

この話からすると、イタリアの大きなフォーメーション変更は彼ら自信のチーム状態に基づくもので、相手チームにあわせてのものではない。

 

だがこの試合はやはりプランデッリ監督側こそが挑戦者であることに変わりは無い。-スペインは優勝候補であり、いつも彼らの特徴あるサッカーを表現し続けている。この試合における戦術戦としての見所はプランデッリのチームがスペインを止められるか、さらに弱点をつけるのかということだろう。

 

 

スペインの先発予想

いつもどおりスペインのメンバーリストのうち9人まではほぼ疑問の余地がないだろう。(もっともいくつかのニュースソースではシャビがスタメン落ちすると伝えているが・・。)残りの2つ、要はセンターフォワードと右サイドアタッカーのポジションは変化があるように思える。

センターフォワード、この呼び方が彼の役割に正しいのかはわからないが、このポジションにはファブリガスが入ると予想されている。この選択はどちらかというと消去法的かもしれない。-ジョレンテはまだ試合に出られていないし、フェルナンド・トーレスは納得できるプレーが出来ていない。ネグレドはポルトガル戦で存在を感じさせられなかった。-これに加えて中盤での争いがこの選出要因となりうるかもしれない。2チームのフォーメーションを重なると、中盤はスペイン3人vsイタリア4人となる。前試合3人vs3人でもスペインはイタリアのミッドフィールダー、ピルロに手を焼いていた。デルボスケ監督はこの試合はミッドフィールダーを増やしたいはずだし、ピルロに直接マークをつけたいはずだ。

右サイドアタッカー、一番可能性の高い選手選考はきっとダビド・シルバだろう。これまでの全5試合で先発している。しかしウイングを本職とするナバスの起用もあるかもしれない。彼はこれまでの試合でスペインの攻撃をより脅威的にしてきた。特にイタリアとの試合がそのいい例であろう。その試合では3バックを相手での活躍だったのは確かが、イタリアのサイドバックは往々にしてこういったタイプの選手と対すると防ぎきれないことがある。本職のウイングはサイドから進入し、相手の守備陣の網を破ることが出来る。シルバが先発ででても途中交代となるのではないだろうか。

イタリアの先発予想

プランデッリは3-5-2への回帰を念頭に入れるだろうか?プランデッリ監督自身が「それはまったく考えていない。すでにチーム力はここ数試合で必要な状態に戻っている。ただ我々は試合中状況に応じて3-5-2とする準備も出来ている。」とコメントしている。

 

左サイドバックはジョルジオ・チエリッニがこれまでどおり選出されるだろう。現時点で予想し辛いのは右サイドである。イグナジオ・アバーテがレギュラーと言えるが、この試合では会わないかもしれない。マッジオは右サイドを本職としているがどちらかというとサイドバックというよりもウイングバックである。なのでバルザレッティが結局また先発となるのではないだろうか。-彼はドイツ戦でよいプレーをした。ここ数年彼は左バックとしてプレーしてきており、前に行く能力という1点ではこの3人のうち一番分が無い。

 

さらに、誰がダイアモンドの頂点になるのだろうか、チアゴ・モッタはスペイン戦でよいパフォーマンスを見せたが、怪我のためモントリージョにポジションを明け渡した。モントリージョの相手チームの前へのパスを防ぐ役割はドイツ戦で素晴らしく機能していた。ただこの役割は体力的に非常に負荷が高く、モッタも試合途中からの出場のチャンスは大いにあるだろう。

 

メンタリティー

スペインはこれまでどおりだろう、執拗にボールを保持し、パスを選手間で早くまわすものの、早い時間帯は前線へはなかなかまわさないはずだ。前半のうちにイタリアを疲れさせ後半に縦のボールを増やして勝負しに来るだろう、デル・ボスケ監督はハーフタイムにはどのような相手でも0-0で持ち込めば及第点としているように見える、というのもスペインの体力がしっかり残っていて、さらに選手交代の選択肢も多い状況で後半を迎えることをじっくり待っているからだろう。

対してイタリアは少し読めない。プランデッリは「自信過剰なわけではないが、イタリアがキックオフから試合終了まで試合をコントロールするだろう」と話している。もちろんスペインが優勝候補として試合に臨むのは確かだが、プランデッリのチームはボール支配率のみにこだわることはしないが、それをスペインに簡単に明け渡すこともしないだろう。スペインが長い時間ボールをキープすれば、イタリアは早いカウンターで対応する。

「我々の戦術的なアプローチはポジティブで攻撃的だ、ボールを失ったらスペースを与えずにすぐに取り戻す。もちろんボール支配率はうちの出来と、スペインのパフォーマンスによってきまるだろうが・・・。」

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Tags: データ  
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Posted: 2017年02月16日 23:17

Reference: Euro 2012 final: Spain v Italy preview

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