「実行機能」:エリート選手の創造的な側面~パート2~

サッカー選手の才能や成功の可能性を探るとき、多くの場合、フィジカルやテクニック面に焦点をあてることが多いだろう。スピード、カラダの大きさ、ボールスキルなどは評価プロセスの多くを支配することもある。

~パート1より続き~http://soccercoaching.jp/read.php?id=1336057452

 

この研究は2つのグループの概略であることを考慮にいれなければならない。それゆえに、原因と効果について示唆することは難しい。高い「実行機能」(※行動と思考を調整する能力として定義)は、よりレベルの高い選手を生み出すのか?あるいは、高いレベルでのプレーが「実行機能」を向上させるのか?多くの人は、この「実行機能」は生涯を通じて比較的安定しているものだと感じている。それはある意味IQのように、生まれつきの遺伝的な要素であり、向上はできるが、それは幅の小さいものに過ぎないものであると。そして、行動や思考を調整する能力を向上させるトレーニングというのは通常、かなり厳しいプログラムを伴うものである。それゆえに、サッカーをすることで「実行機能」が高まると考えるよりも、高い「実行機能」がサッカーのパフォーマンスに影響を与えていると考える方が現実的であろう。

SSO(Soccer Science of Online)は、以前に「状況判断(Decision Making)」の重要性について説明を行った。2年前、オランダのエリートプレイヤーは、ポジショニングと判断力が高いことがわかった。(リンク参照:http://soccercoaching.jp/read.php?id=1323442860) 戦術の自己理解力において、エリート選手は戦術の状況を理解して、その決定をプレーに反映していくことが、平均的な選手よりも優れているといことであった。現在の研究の結果では、この能力は必ずしもエリート選手たちがサッカーの試合に慣れているから高いわけではないことを示している。それよりも、状況を注意深く分析して複雑な問題に対して創造的な解決策まで見つけられる生まれつきの性格によるところが大きいとしている。これは、エリート選手たちがより良い状況判断を導くために創造的に考えているということであった。

多くのコーチやプレイヤーにとって、この「実行機能」は新しい言葉であるかもしれないが、新しい概念ではないだろう。多くの人は、ゲームの流れを読み、何もない所からチャンスを生み出す創造的なプレーをする選手に驚き感嘆する。それは試合を見ていても明らかにわかるものである。ただ残念なことに、「実行機能]は才能ある選手を特定する際に見過ごされてしまうタイプのものなのかもしれいない。この研究の著者が示唆することには、コーチは単に身体能力、ボールコントロールや良いプレーをしているかといったものだけで才能ある選手をきめるべきではないとしている。「実行機能」、「問題解決力」、「創造的側面」の特性は、プレイヤーがトップレベルの選手になるだけの才能があるか判断する一助になるかもしれない。(了)

 

 

Reference


Vestberg T, Gustafson R, Maurex L, Ingvar M, Petrovic P (2012) Executive functions predict the success of top-soccer players, PLos ONE, 7: e34731.

 

 

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Tags: リサーチ  データ  全年齢対象  
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Posted: 2012年05月19日 16:47

Reference: Executive Function: The Creative Side of Elite Soccer

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