動きの質と状況判断: 将来を左右する?

サッカー界において将来につながる才能を見つけることは簡単ではない。ときには論理的というよりもむしろ感覚的な作業になることもある。

指導者は数多くの分野や側面を考慮して選手の将来性を計ろうとする。身体的な長所や技術力、それに戦術的な理解力といったものは才能のある選手の要素と呼べるだろう。

オランダ・フローニンヘン大学では、選手の能力測定に加え、潜在的な将来の成功への予測手段として「戦術的理解力の調査・分析」を行った。この結果、各選手がユース年代からプロサッカー選手へと進めるかどうかの大きな差となったのは、戦術的な理解力と、それをグランドで表現できるかである、ということが確認された。


 

この研究の「戦術理解力評価テスト」調査対象はトップユース選手たちであった。

選手たち全員は当時オランダトップリーグクラブのアカデミー選手であり、評価テスト時の年齢は16-18歳である。調査グループはテストから数年後に全選手が21歳以上になった時点で、2つのグループに振り分けた。―「プロ、それに代表としてプレーしている選手たち」、そしてもう一方は「アマチュアレベルでプレーしている選手たち」である。―

この戦術理解力評価テストは以下の4つのカテゴリーで行われた。1)ボール保持時の動き 2)他の選手たちのプレー把握 3)ポジショニングと決断力 4)状況変化時の対応力

この評価テストの結果で、まず真っ先に目についたのは、プロ組とアマチュア組のテスト結果の大きな差だった。プロ選手たちは特にポジショニングと決断力の分野で圧倒的に高いスコアを出し、なんと最も高い点数を出した選手たちは最も低い選手たちより7倍も多くプロ選手たちを擁していた。

このため、ベストのタイミングでベストのポジションにいる能力、そして正確な状況判断力が将来の成功の重要なカギと言えるだろう。

 

テスト当時、全ての選手は既にある程度以上の選手経験を持ち、高いレベルで競技を行っていた。テスト結果によると、全員サッカーのルールやチームメイトの役割、それに相手チームの戦術とボールの流れは理解していた。しかし、「行動に移せるかどうか」または「持っている知識をグランドで実現できるかどうか」がその後の成功か否かを分けていた。つまりプロ選手たちは、戦術を理解し、そしてそれを正しくグランド上で表現できる選手たちなのである。

 

この調査ではプロ契約への移行時のU-18年代のトップユース選手を対象として行われていたため、より経験の浅い、もしくは年齢の小さなサッカー少年少女たちに調査結果を当てはめることは難しいかもしれない。ただし、(U16等の)より若い選手のコーチたちに戦術の理解と実践を育ませることを薦めることは不自然ではないだろう。戦術的知識と状況判断は将来につながるのである。
 

今回の調査結果はポジショニングと状況判断力といった戦術理解能力がユース選手たちの将来の可能性を大きく物語っていることを示している。またコーチたちが個々の選手の試合観に気を配る必要があることも提議されている。こういった能力は選手発掘時にはしっかりと考慮に入れられるべきであり、またそれぞれの選手の青年期において確実に育まれるべきものである。(了)

Reference:

Kannekens R, Elferink-Gemser MT, Visscher C (2010) Positioning and deciding: Key factors for talent develpment in soccer. Scandinavian Journal of Medicine and Science in Sports, DOI: 10.1111/j.1600-0838.2010.01104.x

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Tags: データ  リサーチ  ユース・ジュニアユース対象  
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Posted: 2011年12月10日 00:17

Reference: Movement and Decision Making: Predictors of Success

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